「森上は『20億円集めた。五つのクリニック(当時)の売り上げも順調で、トシュカが上場した折には、あなたの投資金は何倍にもなる』と会うたびに自信満々に説明したものです」(元株主・K氏)
「実は日本メナード化粧品の野々川さんがこの投資金を担保するという『念書』があり、森上はそれを見せながら金を集めていた。その念書の効果が抜群だった」(投資銀行社員)
森上氏は大経営者の保証も得て、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだったろう。
しかし、状況が急変した。
「基本、株式会社は病院の経営ができない。病院の利益をコンサル会社へ迂回させるスキームで上場を画策したが、A監査法人に見破られた。A監査法人は森上にクリニックの財務状況の開示を迫ったが、これに応じなかったため、契約を打ち切られた」(市場関係者)
上場を目指す企業が財務開示に応じない?
「A監査法人の後釜に付いたのが悪名高きR監査法人。それと、H公認会計士、T税理士。2人は、'05年に某クリニックの脱税事件で東京地検特捜部に逮捕、起訴のマエがあります。ちなみにT税理士も開成高校のOBです」(捜査関係者)
A監査法人に財務を隠した上、R監査法人や逮捕歴のあるH公認会計士とT税理士が登場。しかもT税理士は、昭和50年卒とはいえ、森上と同窓の開成OBだという。
「R監査法人と、前歴者のH公認会計士、T税理士を連れてきたのは森上。実質的には、クリニックの破綻後、再生終了までの指揮を執っていたのはT税理士。相当ずる賢い人です」(前出の元トシュカ社員)
事業再生再建の名の下、悪だくみ偏差値も高そうな開成OBがつるんで、いったい何をしでかしたのか。
「上場は金を集める口実で、最初から日本での上場はできないと知っていたのでは? 上場準備中の会社が監査法人へ財務開示拒否など聞いたことがない。しかも前歴者の会計士や税理士を引っ張り込むなんて。すべて開成コンビが最初から仕組んだ話に思える」(前出の投資銀行社員)
「日本での上場を断念後、森上は『Tホールディングス(TH)』なる会社を設立して、トシュカを子会社化し、シンガポールでの上場を謳い出しました。おそらく、もめていたトシュカ株主への時間稼ぎ。なぜなら森上は、シンガポールでの公開直前にBNPパリバ銀行シンガポールからTHの預金を担保に1億5000万円もの融資を受けています。その金でハワイのマンションと高級外車を購入した、なんて噂もありました。当然、上場延期です」(前出の市場関係者)
株主たちは完全に裏切られていたのだ。本誌はT税理士の直撃に成功した。
「森上さんはね。学習塾やレーシック治療会社を創業しては投資を募り、焦げ付かせてきた札付きの人物ですよ。ひょっとすると、海外かどこかに資金を隠しているんじゃないかと関係者は疑っていますよ」
何と開成コンビの“相棒”T税理士までもが、森上氏をこう斬り捨てたのだ。