秋の天皇賞は圧勝だった。春の天皇賞後のように、目いっぱい駆け抜けた反動も心配されたが、すべては杞憂だった。
「春は坂路で一番時計をバンバン出していたから、それが逆に疲労として残っていた。春の天皇賞の後はひどかったよ。でも、今は余力が残るよう調整しているから、そんな心配はいらない」
前走から取り入れたソフト仕上げ。これがサムソンの中にまだ眠っていた潜在能力を引き出したようだ。
1週前の時点で体ができ上がっていたため、追い切りは余裕たっぷり。「坂を上るフォーム自体も、春より随分良くなっている。頭を横に向ける癖のあった馬が、まっすぐ走るようになったからね。本当にデキはいい。もういっぱいにやる必要なんてないぐらい」
この秋、幻に終わった凱旋門賞挑戦。そのレースを制して、世界最強の芝馬に上り詰めたディラントーマスは直前で出走取り止め。拍子抜けの感もあるが、師は気持ちを引き締め、「ここでいい競馬をしなくては来年の凱旋門賞まで夢で終わってしまう。だらしない競馬はできないよ」と続けた。
昨年、ダービーを制し世代最強の座に就いた東京の2400m。同じ舞台で今度は世界最強の称号を手に入れる。
【最終追いVTR】DWコースで併せ馬。直線で武豊が仕掛けると鋭く反応し、ラスト1Fは12秒4をマークした。天皇賞時より、さらにシャープさが増していて最後は併走馬に楽々と2馬身先着を果たした。ケチのつけようのない仕上がりだ。