「松坂は私たち(日本人メディア)を100%信用していません。調整方法を巡る軽い愚痴をこぼしたら週刊誌で大ごとにされ、球団に叱責されたこともありました。一時期、夫人と親しい女性ライターから情報がもれているとの噂もあり、疑心暗鬼になっていました。でも、その女性ライターとの関係を妬む者によるデマだという話もあり、松坂もどちらの話が本当なのか、迷っているようです。まあ、松坂も大人ですから、マスコミに言えることと言えないことがあるのを分かったというか、会見やフリートークで言葉を選ぶようになりました」(現地特派員の1人)
しかし、レッドソックス首脳陣に激怒したとなれば、松坂にも真相を喋らせなければならない。
漏れ伝わってくる限りでは、ローテーションの再編にカチンと来たようである。
同4日、松坂は首脳陣に呼ばれ、先発登板日の変更が告げられた。本来なら6日に登板するはずだった先発予定を5日に繰り上げられたというのだ。急な先発変更は調整法にも影響するだろうが、百戦錬磨の松坂がその程度で怒るはずがない。松坂が先発するはずだった6日は「新人左腕のドーブロンドが投げる」と知り、「オレは新人以下か!?」と怒ったのである。
「一般論として、5人の投手で先発ローテーションがまわるメジャーにおいて、登板日を前倒しするのは非常に珍しいことです」(前出・同)
日本人メディアは松坂に同情的だが、この時点での勝ち星は「5」。防御率も4点台後半だったため、首脳陣がイキのいい新人左腕をテストしてみたくなるのも当然である。
今回、松坂が愚痴を言わずに無口になったのは、自分の置かれた立場を分かっていたからではないだろうか。
「本来、5日に先発する投手は勝ち頭のバックホルツ(10勝)でした。この5日に新人で穴埋めし、松坂を万全の状態で登板させる選択肢もあったはず。フランコーナ監督は『コミュニケーションの巧い指揮官』として知られています。新人を優先された屈辱感もあったと思いますが、松坂がそれを受け入れたのはバックホルツを故障で欠き、苦しいチーム事情が分かっていたから、何も言わなかったんだと思います」(同)
その5日、松坂は6回途中5失点で降板。チームを勝利に導くことは出来なかった。
「2回以後は乗っていけそうな感じはしていた。もったいなかった…」
試合後、多くを語ろうとしなかったが、先発日変更にプライドを掛けて臨んだ事情はアメリカのメディア陣も分かっていた。
12日のブルージェイズ戦で6勝目を飾り、名誉挽回はできたが、「立ち上がりが良いときと悪いときがあり、後者の場合はそのままズルズル行ってしまうのが今季の特徴です。試合序盤で安定した投球ができなければ首脳陣からの信頼は取り戻せない」というのが現地メディア陣の一致した見方だ。
「西武時代、松坂は夏場に先発ローテーションを飛ばしてもらうなど、特別待遇を受けていました。レッドソックスではそういう恩恵は全く受けていません。日本時代に休んでいた夏場に登板日を急に変更されたのだから、勝てるはずがありません」(日本球界関係者)
そんな手厳しい意見も聞かれた。西武時代が懐かしいとは思っていないだろうが、調整方法を巡る衝突といい、松坂とレッドソックスはシックリ行っていないような気がする…。