とどまることを知らない勢いを駆ってバダ・ハリが、前人未到の3冠制覇をブチ上げた。
4月にレイ・セフォーをKO殺して初代チャンピオンとなった“悪魔王子”ハリに初防衛戦の気負いなど一切なかった。
この日はグラウベ・フェイトーザを1R開始直後から圧倒。相手のガードの上から強烈なハイキックを叩き込んでダメージを与え、続けざまの左ストレートであっさりダウンを奪った。
もはや勝ったも同然。なんとか立ち上がってきたフェイトーザに、最後は豪快な右フックをブチ込んでマットに沈めた。わずか153秒での初防衛だった。
相手に付け入るスキを全く与えない完勝劇に、試合後は「今年のK-1チャンピオンになるのはオレだ」と早くもワールドGP制覇を宣言してみせた。
“舌好調”の悪魔王子がもくろむのはそれだけではない。
この日のセミファイナルでスーパーヘビー級タイトルを防衛したセーム・シュルトについても「試合さえ用意してくれれば、ヤツを100%KOできる」と豪語。それどころか「セームの持っているタイトルも取ってK-1のすべてのタイトルを取る」と“3冠王”の野望まで口にした。
ヘビー級、スーパーヘビー級の2階級制覇に加え、ワールドGPまで優勝するとなれば、前人未到の快挙となる。
Kのタイトル総なめを画策するバダ・ハリの、口だけではないその強さに、谷川貞治イベントプロデューサーも「シュルトと(タイトル戦を)組むのも時間の問題でしょう。次に挑戦するとしたら、もうピーター・アーツくらいしかいないのではないか」と頭を抱えている。
圧倒的な強さと存在感で試合もビッグマウスも絶好調のハリが、誰もなし得たことのない快挙達成に向けて動き出しそうだ。