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巨額補助金を狙う 同床異夢の自動車メーカー大同団結

 強力なライバル関係にある自動車各社が大同団結を加速させている。5月30日にはトヨタ、日産、ホンダ、三菱自動車の4社が電気自動車(EV)の充電インフラ整備に向け、共同出資会社の『日本充電サービス』を設立した。その直前には、国内大手8社が次世代エンジンを共同研究する『自動車用内燃機関技術研究組合』を旗揚げしている。

 販売最前線で壮絶な火花を散らし合う各社が、ここへ来てなぜタッグを組んだのか。業界担当アナリストは「シナリオライターは経済産業省。政府は近く発表する経済対策に自動車産業の振興策を盛り込む。その地ならし策として業界の結束を国民にアピールする必要があった」と打ち明ける。

 次世代自動車には莫大な研究開発費が掛かる上、普及ともなれば国の補助は不可欠。EVでいえば当然、至る所に充電器の設置が必要になる。業界全体としても国の顔色をうかがいながら進んでいくしかない。

 では、政府が近く発表する経済対策に盛り込む自動車産業の振興策とは何か。
 「2015年の実用化を目指している燃料電池車の普及です。EVの充電器同様に、これに欠かせないのは燃料を補給する水素ステーションの設置ですが、100箇所の設置目標に対し、メドがついたのは3割程度。これをどうスピードアップさせるか、燃料電池車で先行するトヨタ、ホンダにとっては、この政府発表こそが待ち焦がれている本筋なのです」(同・アナリスト)

 EVには消極的な両社が充電器サービス会社に出資した理由は、経産省の顔を立てたからというわけだ。
 「日産が業界団体の会長時代、エコカー補助金の延長を申請しなかったのは『延長してもプリウスで独走するトヨタを利するだけ』と強固に反対したから。まことしやかにこう囁かれたものです」(市場関係者)

 たとえ役所主導でタッグを組んだところで、この業界はどこまで行っても同床異夢というわけだ。

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