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神戸新聞杯 主役は一段とパワーアップしたフサイチホウオーだ

 底力を誇示できるか。皐月賞、ダービーと人気を集めながら冠を逃したフサイチホウオーが菊花賞TR「第55回神戸新聞杯」(JpnII 芝2400m 23日)で戦列復帰する。内枠に泣かされた皐月賞、イレ込みが激しく牝馬ウォッカの後塵を拝したダービーと春は悔しさが募った。秋にその分を取り返すため、夏場も緩めず乗り込まれてきた。課題だった腰の弱さが解消され、一段とパワーアップ。菊花賞へ向け、ここは譲れない。
 悔しさに打ちひしがれている暇はなかった。
 「ひと夏越して良くなりました。春は右腰が悪く、それをかばいながら走っていましたが、そのあたりが解消され、踏み込みに力強さが出てきました」ダービー2勝を誇る名トレーナー・松田国師の厳しい視線がほころんだ。
 フサイチホウオーがパワーアップして帰ってきた。その原動力となったのは春に重ねた悔しさだ。3着に終わった皐月賞は1番枠に泣かされた。小回りでゴチャつく中山。先行馬が圧倒的に有利な舞台にもかかわらず、外に持ち出すため、後方まで下げざるを得なかった。

 1番人気に支持されたダービーはさらに痛恨だった。レース前から気持ちが舞い上がってしまい本来の力強さをまったく発揮できずに終わった。
 しかも勝ったのは牝馬のウオッカ。「皐月賞は負けて強しだったけど、ダービーは問題外だった」と安藤勝騎手が振り返ったのもうなずける。
 その後は栗東近郊の牧場へ短期放牧に。束の間の疲れを癒しただけで、トレーニングを再開した。クラシックを狙う有力馬の多くが猛暑を避けて休養した中、ホウオーは7月下旬から栗東坂路で時計を出し始めた。
 捲土重来。すべてはそのためだ。「体重を腹の下で支えられるようになり、推進力が出てストライドも大きくなった。変則日程を見越してここ2週、ビッシリ追い切ったし、具合はすごくいい。態勢は整いました」とうなずいた。
 5日は坂路で800mを51秒0。12日にも52秒5→37秒6→24秒7→12秒6の好時計をマークした。
 騎乗した安藤勝も「春より時計が出るのは成長の証し」と話した。完成手前の状態でもデビューから4連勝した超逸材。「以前は勝ってもいまひとつ納得できない面があった。まだ奥があるのか、つかみきれない部分があった。そのあたりがどう変わっているか。楽しみだね」
 残る冠は菊ひとつ。その前に、安藤勝の思いに応えられるか。“鳳凰”の秋が始まる。

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