ローマやベネチアなど、多くの観光都市が点在するイタリアは、日本人にとって金銭感覚の違いを最も感じやすい場所である。観光をする際、タクシーに乗る機会も多いと思うが、メーターはあってないようなもの。明らかに初乗り料金の距離でもその倍の値段を請求されたり、もともと目的地までの値段を20ユーロ(約2500円)で運転手と交渉していたとしても、降りる際、「1人当たり20ユーロだから、2人で乗ったあなたたちは40ユーロ(約5000円)」と屁理屈を押し通そうとする運転手もいる。客が強く拒否すれば正規の値段で合意する場合も多いが、運転手は「うまくゴリ押しできればラッキー」というつもりで高い値段で交渉してくる。タクシーに乗る際は、ホテルやレストランなどに依頼してタクシーを呼んでもらえばぼったくりの被害に遭いにくいだろう。
また、ドイツではテーブル会計の際、店員が紙に筆算で計算するので計算ミスが起こりやすい。他にも、スペインやイタリアではグラスワインの値段をオーナーではなく、店員がその場で判断することもある。ただし、観光客をだましてぼったくろうとしている店は少なく、店側の金銭感覚が緩いだけという理由のようだ。
その反面、客が得をすることもある。ドイツやイタリア、スペインのスーパーなどでは、小銭の持ち合わせがない場合、レジの店員の判断で少し安くしてもらえることがある。例えば、1ユーロ58セント(約193円)の買い物をして、小銭が1ユーロ50セント(約183円)分あるものの、8セント(約10円)分足りず、お札で払おうとすると「1ユーロ50セントでいいよ」となることも。スーパー側は最終的にレジの金額が数セント合わなくても、あまり気にしないようだ。
ヨーロッパ各国は日本とは違い、金銭感覚がアバウトな面もあるようだ。得をすればうれしいが、損をする場合もあるので、事前に各国のお国柄を知って対策しておくことも必要だろう。