「女として大切なものを教えてもらった。つまらない価値観に振り回されず大切な人との一日があれば人生それでいいんですね」
ネット掲示板にはそんなアツい感想もあるが、いったい実の母親か、育ての親か…そんな永遠のテーマで荒れていた。
20歳を迎えるまで会わない決断をした奈緒の決心に賛否が寄せられたのだ。
うち、多いのが、
「実母まで捨てた継美(芦田愛菜=子役)なのに、奈緒(松雪泰子)にまで捨てられてかわいそう」
というような否定側の意見だ。
しかし、片面的な気がするのは、気のせいだろうか…。
晴れて成年になった継美と奈緒が養子縁組を組むのなら問題がないだろう。それまで「待つ」というのも、日本人の謙譲の美徳に根ざした自然な行動のはずだ。
ところが、
「奈緒と継美が一緒に暮らして欲しいと言ってる人、奈緒と暮らして継美が学校に行けますか? 戸籍はどうするの? 誘拐した奈緒が継美の保護者になれると思いますか?」
のような、奈緒がいったん身を引いた決断を正しいとする書き込みは、多勢に無勢で、ほぼ“釣り”扱い。
白熱するバトルを、
「会えない時間が愛育てるのさ〜10年後も想いあってる二人がいいんじゃないの。失われた年月なんかじゃないよ」
という、半ば呆れ顔といった冷めた意見がちらほら見守っていた。
「簡単に親にはなれないよ」「実の親が改心するかという視点も子供にとって必要でしょ」という、奈緒の決心を肯定する意見が当たり前のように軽んじられるのは、それだけドラマのふたりへの思い入れが強い人が多かったせいかもしれない。
実はこんなことを書いている筆者も、最終回、継美と奈緒が、“すきなものノート”に書いてあるすきなものを言い合って、一歩一歩近づいていくシーンで、もう…ダメでした。