ことし8月22日の強化試合でオランダに2-1で勝利。イビチャ・オシム監督も戦前に「私が監督になってから最強の相手」と語った強豪スイスを相手に日本代表が奇跡の大逆転劇を演じた。
前半立ち上がりから平均身長でおよそ5cm上回るスイスに圧倒された日本代表は、10分にマニンにフリーキックを決められ先制点を許すと、12分には闘莉王がペナルティーエリア内での攻防でハンドを取られてのPKからさらに1点を加えられた。その後もスイスの組織的なディフェンスの網にことごとく捕まり終始中盤を支配されて0-2で前半を終えた。
しかし後半に入ると日本代表は一変。「集中力を切らすな。ミスを繰り返すな」というハーフタイムでのオシム監督の激(げき)が功を奏したのか、見違えるような動きで逆にスイスを圧倒した。
後半7分、この日がオシムJAPAN初スタメンとなった松井大輔が左サイドで突破を図り、相手DFのファールを誘ってPKを獲得。これを中村俊輔が落ち着いて決め1点を返すと、22分には中村俊のフリーキックから巻健一郎のヘディングシュートで同点。さらに31分にはコーナーキックから巻が倒されてPKを獲得。再び中村俊が蹴り込んで逆転に成功した。
逆に34分にはコーナーキックからスイスに同点弾を許した日本代表だったが、ロスタイムに後半途中から松井に代わって入った山岸智が左サイドを突破してクロス、これを中村俊に代わって入った中村憲剛がシュート。キーパーが弾いたボールに巻に代わって入った矢野貴章が詰め、代表初ゴールとなる値千金の一発でスイスを突き放して4-3で激闘を制した。
前回オーストリア戦では試合を優勢に進めながら課題の得点力不足を露呈しPK戦の末に敗れた日本代表だったが、この日は後半だけで4点を奪う猛攻を見せるなど劇的な内容でスイスを撃破。結果、勝ち点4で3大陸トーナメントを制した。
「立ち上がりの集中力が悪い。3点の取られ方も悪い」というオシム監督の言葉通り3失点という結果に課題も残ったが、オシムJAPANは初の欧州遠征で世界の強豪相手に戦える手応えを感じさせる価値ある奇跡を起こしてみせた。