「景気が景気だし、他のセールの売上も低調だったので、厳しくなるとは思っていましたが…。ブルーアヴェニューの2007がいなかったらと思うとゾッとします」(セレクトセール関係者)
昨年の初日(1歳馬)は1億円を超える“ミリオンホース”が4頭誕生したのに対し、今年、大台を突破したのは1頭。2億4500万円の値をつけたクロフネの半弟「ブルーアヴェニューの2007」(父アグネスタキオン)だけにとどまった。
“サトノ”の冠名でおなじみの里見治氏との一騎打ちを制し、ブルーアヴェニューを見事、落札したのはアドマイヤ軍団の総帥・近藤利一氏。近藤氏といえば昨年、アドマイヤムーンの弟2頭を筆頭に次々と高額馬を競り落とし、旋風を巻き起こした。
近藤氏は「今年の1歳では抜けた存在。3億円は超えると思っていたから、高額だけど超特価やな。満足している」とご満悦。今年も買いの太さを初日から見せつけ、圧倒的な存在感を示した。
一方、年を追うごとに海外からの注目度も高まっている同セール。セレクトの重鎮に待ったをかけそうな強敵も現れた。
この日、ブルーアヴェニューの2007に次ぐ高馬(6400万円)となったオークス馬の仔「シルクプリマドンナの2007」(牡、父アグネスタキオン)を筆頭に、計4頭を落札したパティックファームがそれだ。
日本では、なじみのない名前だが、代表はオーストラリアで炭鉱を経営するネイサン・ティンクラー氏で、なんと豪州の2歳馬を一括所有する大富豪だ。
同行した日本人関係者は「すでに競馬事業に100億円を投資している。この馬(シルクプリマドンナの2007)で終わりじゃない。これからもガンガン競っていく」とキッパリ。「ディープインパクト産駒がいる2日目でドカンと…。今年はそんな感じでしょう」と力を込めた。
金子真人HD、山本英俊氏らの有力馬主は“静”のポーズを取った初日。これも高騰間違いなしのディープインパクトの初仔が上場される2日目(当歳)に向けての資金温存と解釈すれば、今日15日からの巻き返しは必至!?近藤氏、豪州の炭鉱王を含め、壮絶なバトルが展開されそうだ。