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偽装食材問題 新ブラック企業のホテル業界 欺瞞にどっぷり浸かった業務日誌(1)

 『阪急阪神HD』が運営する、八つのホテル内レストランで発覚した「食材偽装騒動」は、瞬く間に全国に拡大。ミシュランガイドで一つ星を取った、『ザ・リッツ・カールトン大阪』をはじめ、『帝国ホテル』、『近鉄ホテルシステムズ』系列のホテルまでもが、メニューと異なる食材を提供していた事実が発覚した。
 「発端となった『阪急阪神HD』傘下のホテルでは、『旬鮮魚』と偽り冷凍マグロを出したり、トビウオの卵を『レッドキャビア(マスの魚卵)』として提供したりとやりたい放題。メニューとは違う食材が47種類もあった。『リッツ』は、そこまでの不適切表示はなかったが、安価なバナメイエビを芝海老、ブラックタイガーを車海老として提供。業者から買い込んだ果汁100%ジュースを『フレッシュジュース』として提供していたのです」(社会部記者)

 この騒動は、我が国有数のホテルが軒並み巻き込まれ始めたことから、今後はさらなる広がりを見せるとみられているが、恐ろしいのは、これで終わりではないという事実なのだ。
 「今、マスコミに騒がれている偽装は氷山の一角。むしろ進んで会見を開いているところは、良心的なホテルといえる。その裏にはさらに危ない食材を使いながらも、完黙しているホテルが星の数ほどあるのです」

 こう語るのは、某ホテルチェーンの幹部。この人物によれば、過当競争の厳しいホテル業界は食材偽装のオンパレード。高級ホテル以上に中堅ホテルチェーンでは、驚くような偽装がなされているというのだ。
 「例えば、代表例はウナギだろう。発ガン性物質が検出されたこともある中国ウナギは一般的にも敬遠されているが、冷凍ものを輸入して国内加工すると、原産国を表示しなくていい。そのためこれを安価に仕入れ、『国産』と謳った鰻重を提供しているレストランもザラなのです」(同)

 また、これとは別に牛肉の偽装表示も頻繁に行われているという。
 「今回の騒動では国産牛を和牛とメニュー表示していたところもあったが、実は和牛は日本の在来種。一方、国産牛は海外から輸入し、3カ月以上飼育した牛を指す。そのため、国産牛を和牛と偽って客に出すホテルが絶えない。近年流行りのイベリコ豚に、実は格安の国産豚を使用している所も増えています」(同)

 ただ、これらは最もオーソドックスな手口。さらに恐ろしいのは、魚介類の食材偽装なのである。中堅ホテルの元シェフが言う。
 「謝罪会見を行った多くのホテルで、『芝海老』の偽装があったが、これは市場でもめったにお目にかかれない幻の食材。メニューに書かれていたらまず疑えといわれているほどなのです。また、最近目立ってきたのは食材の回転寿司化。代用魚を使った料理を提供し始めているホテルレストランが、増えているのです」

 ちなみに、「代用魚」とは、古くから食べられてきた魚に味がよく似た魚介類。その多くは深海魚や外国魚で、最近では回転寿司の8割近くがこれを使用しているといわれているのだ。
 「例えば、『鯛めし』に使われているのは、アメリカナマズやテラピア。アワビはチリ産のロコ貝、酷いところでは南米産のウミヘビを『穴子丼』として提供しているところもある。海鮮丼などのマグロはガストロというサバ科の魚。ネギトロはアカマンボウが主流で、中には本物の食材の3分の1以下の値段で仕入れているものも多いのです」(同)

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