チームにはいろいろな役割がある。花形スターにスーパーサブに名脇役。その役割の中でも、あまりスポットライトは当たらないが、チームには欠かせないポジションがある。それは負けている場面でのロングリリーフや、いわゆる敗戦処理といわれる役割だ。2018年のベイスターズは、スターターが早い回でノックアウトされる事が多く、この苦しいポジションを賄っている"中途入団組"の2人を取り上げたい。
☆NPB〜アメリカマイナーリーグ〜NPB
まずは中後悠平。ロッテを自由契約となってから、メジャーを目指し渡米。残念ながら夢は叶わなかったが、後半戦開始とともにベイスターズにやって来た"逆輸入左腕"。7月半ばに一軍登録されたがいまひとつの内容で、28日に抹消。ファームでは無敵のピッチングで調子を取り戻すと、再び一軍に上がってからは好調をキープ。8月28日のドラゴンズ戦では、ワンアウト2-3塁のピンチでリリーフしてしっかり抑えて見せ、ハマスタ初のお立ち台も経験した。変則左腕としての存在は貴重だ。
☆3球団を渡り歩いた苦労人
二人目は藤岡好明。2016年に金銭トレードでベイスターズに入団したサイドハンド右腕。今シーズンは開幕からファーム生活を余儀なくされていたが、8月2日に一軍昇格すると、翌日のカープ戦で延長10回途中、ツーアウト1-2塁のピンチを切り抜け、11回も3人でピシャリと抑えその裏のサヨナラ勝ちを呼び込む活躍。勝利投手となり、ヒーローインタビューで喝采を浴びた。ソフトバンク、日本ハムと渡り歩いた来た藤岡は、肝機能障害をも克服した苦労人。持ち前の"侍ソウル"はまだまだ燃え続ける。
☆ここぞの場面でのハングリー精神
ベイスターズは若いチーム。数チームでのプレーを経験し、様々な苦労をしている彼らの存在はまさに「生きる教科書」。投手陣のみならず、ハングリー精神を持って、野球に取り組む姿勢は、チーム全体のプラスとなることは間違いない。どんな場面でも出番が回ってくる為調整は難しく、一軍と二軍を行き来することも多くなる。つい先日の大敗を喫した試合でも、彼らのような”イニングイーター”不在のため、勝ちパターンのピッチャーを使わなくてはならない状況になり、モチベーションの問題か、失点を重ねてしまう結果となってしまった。決して目立ちはしないが、彼らはチーム内の役割を果たすため、今日もブルペンで肩を作り続ける。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘