1月7日にスタートした『西郷どん』の初回平均視聴率は、歴代の大河ドラマにおいてワースト2位の15.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)だった。その後、初回を上回ったのは15.5%を記録した第5話(2月4日)のみ。低空飛行が続いているのである。
それ以降も視聴率の低迷は続き、第37話(10月7日)では平均視聴率が9.9%まで低下。大河ドラマとしては異例の10%割れを記録した。11月4日の第41話は11.8%で、ここ最近は11〜12%程度をうろついている。歴代ワースト1位の不人気作品となる可能性もあるようだ。
NHK大河ドラマとしては2015年『花燃ゆ』以来、3年ぶりに一桁台の視聴率を記録した『西郷どん』。数字が上がらない理由は、“狙いすぎた企画”にあると言われている。TV離れが進む時代。かつて大河ドラマが視聴率20%、30%を記録していた時代は終わりを迎えている。そんな中、NHKは起爆剤として『西郷どん』の制作に踏み切ったという。
主役の西郷隆盛に鈴木亮平、盟友役として大久保利通に瑛太と、注目度の高い2人をキャスティング。他にも渡辺謙や北川景子ら、そうそうたるメンバーを迎えて始まった本作だが、いざ放送が始まると視聴率は低迷。「原因は脚本にある」と批判が集中した。
脚本は、数々のヒット作を生み出した中園ミホ氏。あの高視聴率をたたき出した『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』を手がけた人気脚本家である。話題性もあり注目されていたが、「『西郷どん』の脚本は時代考証が不十分」と物議をかもした。「史実と違いすぎる」「西郷は酒が飲めないはず」「島津斉彬と西郷は薩摩では会っていない」など、幕末の維新志士ファンからの批評が相次いだのだ。
その後視聴率は回復せず、既に終盤を迎えようとしている。これは脚本だけの責任ではないのではないか。「ヒットメーカーの脚本家に新感覚の幕末の英雄を描かせ、話題性を高める」という戦略が外れたことに大きな原因があるだろう。中園氏は自身のスタイルで脚本を作ったにすぎない。
視聴者の求めている大河ドラマと、制作者側の意図がかみ合わなかったことが視聴率低迷の理由だろう。しかしながら、平均視聴率は低くとも名作と言われている『平清盛』などもある。有終の美を飾れるよう、『西郷どん』のラストスパートに期待したい。