キャッスルホテルは毎日新聞が筆頭株主で、傘下にキャッスルホテル、ウエスティングナゴヤキャッスル等がある。毎日新聞グループホールディングス(GH)の持分法適用会社に当たり、推定売却価格は25〜30億円程度とみられている。
ナゴヤキャッスルは'55年に創業し、'13年3月期の売上高は101億円、純利益は1億円で、4年ぶりに黒字を達成した。
かたや興和は、名古屋観光ホテルを所有。キャッスルホテルを買収することでホテル事業の強化を狙うようだ。
毎日新聞はキャッスルホテルの売却について「経営資源の集中」としているが、なぜこの時期に、との疑問も向けられている。
ちなみに、毎日新聞GHの経営がかなり悪化しているか、といえばそうでもない。持ち株会社毎日新聞GHの、直近である平成25年3月期決算は連結売上2387億円(前期2432億200万円)、経常利益22億6300万円(22億5000万円)と前年を下回ったが、純利益は5億1400万円(9億7100万円の赤字)。単純に利益だけを見れば前々期はよくなかったが、前期は持ち直している。
あるOBはこう言う。
「毎日新聞GHがキャッスル株を売却して手にした額は、同社の経常利益額程度。この辺りが気がかりです」(新聞業界関係者)
また、大胆な別の見方をする新聞業界関係者もいる。
「今年1月、朝日新聞の木村伊量社長が『消費税導入で新聞業界は食うか食われるかの戦いになる。体力のない新聞社はギブアップするところも出てくる』と新聞に軽減税率を適用するよう訴えた。そこで注目されたのが、資金繰りに苦しんでいた当時の毎日新聞。今回キャッスルホテルの株を売るのを、木村社長は薄々知っていたのではないか。その読み通り、毎日はホテル株売却を発表した。この出来事は、新聞社が軽減税率導入を進めていくのにインパクトのある材料となったといえる」
軽減税率をめぐる新聞業界の迷走は続きそうだ。