昨年1月に退任した福地茂雄前会長は、就任前の役職だったアサヒビール相談役に戻った。
「福地前会長は、会長なのに次期会長を指名できないのか、と不満たらたらでした。リストラや契約世帯増などを一生懸命やって実績を残しても、なんらメリットがないのがNHK会長という職なんです」(NHK関係者)
また、今年4月に専務理事放送総局長を退任した金田新氏は、古巣トヨタの顧問で、系列のトヨタ部品共販会長に就いたばかりだ。
「もともと金田氏は、'06年にNHK受信契約料対策要員としてトヨタ専務から迎え入れられた。民間の手法が欲しいということだった。だが、入ってみると待遇はまるで違う。これならトヨタにいた方がよかったとこぼしていました」(前出・NHK関係者)
これはいかにNHKという職場が、仕事がやりづらいかを暗に示している証拠であろう。
こんな声が聞こえてきた。
「NHKでは、民間企業から招へいされた人物が、いくら頑張ってもしょうがないということです。3〜4年いて実績を築いても、次に上がるポジションは存在しない。だから、福地前会長も怒ったのです」(NHK事情通)
このままでは、会長職に就きたがる民間企業の要職経験者はいなくなるだろう。そうなると会長の給与(3200万円)を大幅に上げるしかないが、原資が受信料なのでそれも無理だ。
エロ路線で視聴率を稼ぐ番組を増やすのもいいが、その前にNHKが解決すべき問題は山積みである。
(編集長・黒川誠一)