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三越伊勢丹が青ざめた“中国爆買い終了”ともう一つの誤算

 百貨店の雄『三越伊勢丹』が苦境に立たされている。2016年4月〜9月期の連結決算売上高は前年同期比5.2%減の5821億円、営業利益は同58%減の61億円まで大幅ダウンとなり、経営環境の悪化が露呈した。“頼みの綱”の新宿伊勢丹本店を含めた旗艦店の売り上げが減少し、さらに免税売上高が2割も落ち込んだのが要因とみられている。

 これまで百貨店などの小売業は、中国人訪日観光客による“爆買い客”が下支えをしていた。かつて新宿伊勢丹本店では、富裕層の訪日観光客が高級ブランドや宝飾品を買いあさり、免税カウンターは長蛇の列をなしていた。しかし、昨年より訪日客の消費動向が劇的に変わったのだ。
 「中国人訪日観光客数は前年比2ケタ増となる一方で、購入金額が小口化しました。要因は円高と、中国政府が海外購入品に掛ける関税の引き上げ。これにより高級ブランドから医薬品や化粧品などの消耗品にシフトしたのです」(百貨店関係者)

 そんなことになるとは露知らず、昨年1月に三越銀座店の8階に空港型免税店をオープンしたものの、当初のもくろみは大外れ。今や閑古鳥が鳴いている。
 「茨城空港や関西国際空港からの格安航空利用者は、購入した商品を空港で受け取れずメリットがない。明らかな誤算」(経済紙記者)

 もう一つ大きく響いているのが、カード会員の売り上げ減少だ。昨年4月に三越伊勢丹の会員向け優待を割引制からポイント制に転換した。1回の買い物で通年の購入金額に応じて5%〜10%割引きされていたものが、次回の買い物から使えるポイントに変わった。伊勢丹の女性会員は「ポイント制に変わり、割安感を感じられない」と話し、顧客離れが起きている。

 三越千葉店(千葉市)、三越多摩センター店(東京都)が3月閉店。他にも計4店舗の売り場縮小を検討など、経営テコ入れの方向で調整に入っているが「社内では大西洋社長の経営手腕を問う声が出始めており、士気が下がっている」(伊勢丹社員)という。
 売れないものばかりの百貨店に魅力はない。

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