が、続投の条件については、「明確なものはない。戦いぶりというか、来季に希望がもてるというか。戦力がボロボロになって、最下位とでは違うが…」と、明言していない。この時期に南球団社長が基本方針として続投を明かしたのは、真弓監督へぶら下げたニンジンだろう。
首位巨人とのゲーム差3(17日現在)の2位にいる阪神。しかも、ここまで巨人との直接対決は6勝3敗と圧倒している。「巨人の巨大打線に負けない猛虎打線」にファンは期待をふくらませている。リーグ戦再開後の巨人戦は、7月2日からの東京ドームでの3連戦までないのが待ち遠しいくらいだろう。4位に終わった昨年でも11勝11敗2分と、真弓監督自身も巨人戦には自信を持っているだろう。
「巨人のリーグ4連覇を阻止することが出来るとしたら、阪神しかないだろう」と、評論家の大半も対抗馬・阪神の見方をしている。そういう状況にあるだけに、絶好のタイミングと見て、南球団社長とすれば、真弓監督をその気にさせるリップサービスをしたのだろう。
ニンジン作戦が功を奏して、真弓監督がチームを逆転優勝させれば、万々歳だし、もし急降下したら、解任すれば済むだけだ。続投条件を問われた時に「戦力がボロボロになって、最下位とかでは違うが…」と、最悪のケースの発言もしっかりとしているのだから、約束違反にはならない。
逆転優勝を果たせば、来季からの2年間契約延長。優勝できなくても、最後まで優勝争いをすれば、来季1年間の続投。急降下して優勝戦線から脱落したら、契約切れで解任。どのパターンでも臨機応変に対応できる。
というのも、今の阪神は、かつて物議を醸したが、「グループ内の人事異動だ」と言い放った、巨人・渡辺恒雄球団会長の言葉通りの監督人事ができる態勢が整っている。「もう一度、監督として勝負したい」と、度々外部へ向け、アピール発言している、オーナー付きの星野仙一シニアディレクターが控えているからだ。
外部から新監督を招請するとなると、オールスター前後から水面下でアプローチしておかないと、いい人材は確保できない。が、ポスト真弓には星野氏の監督復帰が既定路線視されている阪神の現状からしたら、全くあわてる必要はないのだ。シーズン終了間際まで、チームの成績を見極めた上で、真弓監督の進退を決めればいいだけだ。
まだオールスター前だというのに、突然出てきた阪神・真弓監督の来季続投報道には、そういう裏事情が隠されている。行間を読むと、スポーツ紙のストーブ情報は奥深く、さらに興味が倍加するだろう。