「クラブを振り回すたびに優勝がだんだん近づいてきた。そんな感じがしたのが初優勝の感想」と本人は語り、当然のようにメキメキと腕を上げていった。生まれ持ったスポーツに対する勘のよさもそれに加わった。
90年から米国ツアーに参戦。93年には「JALビッグアップルクラシック」で優勝。樋口久子、岡本綾子に次ぐ日本人3人目の米国女子ツアー優勝を果たした。
このころから「ポスト樋口」といわれた。身長170センチ、体重69キロという恵まれた身体で叩くボールは小気味よいほどグリーンを捉えた。そのため小林のゴルフには男性ギャラリーが多く集まった。それと合わせて小林には、観戦する人に何かゆとりのようなものを与えるところがあり、しかもそのフォームは美しかった。
「美術館巡りや旅行が趣味だからです。せこせこするのはあまり好きではありません」
22年間の現役時代に得た生涯獲得賞金額は2億5624万6579円で、現在57位にランクされている。
97年からスタートした日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の樋口久子(69)体制は、すでに6期目に突入している。だが、そのLPGAは樋口が率先して行動を起こし、盤石のものである。
08年2月、新理事となった小林は「会長を助けていま以上に女子プロを盛り上げていきたい」と行事には積極的に参画している。そして若い選手へのアドバイスも「私の責任でしよう」と、コースに出て実行しているのが、現在の小林である。
◎ゴルフ好きの父の勧めで…
福島県立磐城女子高校(現・磐城桜ヶ丘高校)時代はソフトボール部でピッチャーを務めていた。
「体育教師を目指していたが、大学受験に失敗したことからプロゴルファーになっただけ」と、淡々と語る。しかし、大学受験に失敗したことで悩んでいた時、ゴルフ好きだった父親の勧めでゴルフの道を選んだ。
そしてLPGA会長・樋口久子が「次の会長は小林浩美」と名指しするほどの実力と信頼を併せ持つまでに成長していた。
今、日本女子プロには人気、実力ともキラ星のごとく若手が並んでいる。そしてトップ10の平均年齢は25歳だ。樋口が「もう若い人がリーダーになる時代」というのもうなづける。
LPGAの規約では会長になるには理事を2期以上務めなければならないが、「規約はいつでも理事会で変更できる」(関係者)というから、11年には「小林浩美会長」が生まれる可能性は十分にあるだろう。