先制点を挙げたのに投手陣が持ちこたえられず、逆転。打線が奮起したが、あと一歩が及ばなかった。5月28日の広島戦に敗れ、これで12連敗だ。チームの連敗ワースト記録は14だから、まさに危険信号が点滅した状態だ。一方の広島だが、この5月に17勝目を挙げたことになり、「月間18勝」の球団記録に王手をかけた。絶好調である。
小川淳司監督(61)は「(気持ちを)切り換えていくしかない」と言ったが、開幕前、「広島の4連覇を阻止する一番手は、大型補強の巨人ではなく、ヤクルトではないか?」と予想するプロ野球解説者も少なくなかった。それなのに、このありさまだ。
「24日の試合前、選手だけでミーティングが行われました。ベテランの青木宣親が多く発言していましたが、檄(げき)を飛ばすというよりも、チームの雰囲気を明るくしようと、冗談も交えながら前向きな話に徹していました」(チーム関係者)
これが、ヤクルトというチームの利点であると同時に欠点でもあるのだ。前向きに、明るくなれるのは良いことだが、「ミスを重く受け止めることができなくなる」とも指摘されている。その影響だろうか。こんなデータもある。
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総安打数 424(リーグ1位)
得点 230(同)
打点 225(同)
犠飛 16(同)
長打率 .336(同)
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打撃面では好成績を挙げている。しかし、その打撃面ではこんな数値も残されていた。
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総三振数 427(リーグワースト)
併殺 41(同)
犠打 34(リーグ4位)
盗塁 21(リーグ5位)
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ヒット数、得点がリーグトップで、三振の数や併殺がワースト。盗塁、バントの数が少ないことも重ねて考えると、攻撃面に戦略的なものが感じられない。
チーム防御率は4・54、総失点258もリーグワースト。得点もトップだが、失点数もトップだから、試合にきめ細やかさがない。チームが勝っているならば勢いづくものの、接戦になるともろい。さらに付け加えれば、失策44は12球団ワーストだ。エラーで自滅しているとも解釈できる。
「三塁手の村上が一人で10失策を記録しています。まだ、プロ2年目の19歳。打撃優先、将来の4番バッターとして育てようと、我慢して使うと決めた選手です」(前出・同)
また、ヤクルト投手陣は62本のホームランも献上している(リーグワースト)。テンポの悪い試合展開が、野手にも悪い影響を与えているのだろう。
「前任の真中満監督は成績不振でシーズン途中に辞任を発表しました。第1期小川政権も成績不振でペナントレース終了前に退任が伝えられました」(スポーツ紙記者)
近年、ヤクルトの指揮官はイヤな退き方が続いている。今が正念場だ。
※データは5月28日時点
(スポーツライター・飯山満)