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キャバ嬢が生まれる瞬間(25)〜派手な格好に憧れ、キャバ嬢になった女〜

 飯田香澄(仮名・20歳)

 私は子供の頃から、あまり外で友達と遊ぶということをしなかった。親もスパルタ教育で厳しかったし、娯楽は家の中でテレビを見ているだけ。でもそれでなんの不満もなかった。だからといって暗く内向的な性格というわけでもなく、学校へ行けば友達と楽しく会話していた。

 ずっとそんな感じで学生時代を過ごしてきたんだけど、周りが恋愛やお洒落に目覚め始める頃、私が興味を持ったのはアニメだけだった。テレビアニメだけじゃなく、原作となったライトノベルとかも読み漁ったりして、かなりハマってたんだよね。だからその頃からクラスメートとは話が合わなくなったかな。

 友達から原宿に服を買いに行こうと誘われたこともあったけどいつも断ってた。少ないお小遣いでなぜ服を買わなければならないのか、それならアニメのグッズを買ったほうがよっぽどいいって思ってて、休日は一人でアニメイトに行ったりしていた。

 だから青春の1ページみたいな思い出はないし、恋人も出来なかった。私が向き合ってきたのは二次元だけ。10代の頃はそれが当たり前だと思ってたんだけど、成人してからお洒落というか華やかな服装に興味が出てきた。その状況になったらどんな世界が見えるのだろうっていう興味。

 昔ほどではないけど、今でもアニメは見ているし、別にこのままじゃダメだと思ったわけでもない。ただなんとなく今まで一切、身を着飾ってこなかったからその反動が来たんだよね。このまま年をとる前に一度はああいう格好しとくかみたいな。

 とはいえファッション誌を買って今さら1から勉強するってのも面倒くさい。だったらある程度、方向性が決められているキャバ嬢になって、ドレスや髪型、派手なネイルなんかを思いっきりやってやろうって思った。

 今はキャバ嬢になって満足してる。私にはいわゆるギャル時代みたいのもなかったから、現在の着飾った格好で外を歩くだけで楽しい。でも昔の友達が今の私を見たらビックリするだろうな。

(取材/構成・篠田エレナ)

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