激烈な闘争を水面下で繰り広げているTBSと楽天は、28日のTBS株主総会に向け、激しい委任状争奪戦を繰り広げている。その一方で楽天は、交渉の泥沼化を避けようと懐柔工作の道も模索し始めたようだ。しかし、TBSは、三木谷に対する不信感をますます強めている。
4月25日、TBS井上弘社長は定例会見で「通告と一緒に弾(たま)が飛んできた」と苦々しく敵意をさらけ出して発言している。井上社長は定例会見の冒頭、10分以上の時間を割いて、これまでの楽天のえげつない交渉のやりかたを“暴露”している。
「05年の春、三木谷さんから『株を持ちたい』と言われたが、『賛成できない。小さな仕事から積み上げるべきだ』と答えた」と明かし、その後、なしのつぶてだったので調べたら、楽天はフジテレビと交渉していたという。その夏、井上社長は楽天がTBS株の取得を開始したことを知らされ、「その時点で三木谷社長から直接連絡はなかった」と、三木谷の闇討ち的やり方を批判している。
楽天は05年10月、株買占めを背景にしてTBSに経営統合を提案、11月に資本・業務提携交渉に入ったが進展はほとんど見られていない。そして今年4月29日、楽天は再びTBS株取得を始め、ますますTBSは不信感を深めているわけだ。
楽天の投資額は1000億円にも達し、有利子負債5000億円は、楽天にとっても小さくはない。TBSに揺さぶりをかけてホワイトナイトの出現で売り抜けを狙っている腹の底が見え隠れする。
この三木谷の強引ともいえるやり方に対してTBS社員の間にも渦巻いている。TBSには珍しく、社員が一致団結して立ち向かおうとする姿さえ見えるのだから不思議だ。
社員の給料は据え置き、そして制作費の削減、さらに運送代の宅急便代金さえ惜しんでいる、というのだから、今までのTBSでは絶対に見られない光景を目にできる。
他人事のように見ていたTBS社員と幹部も、やっと三木谷のえげつなさに目覚めたようだ。