「昭和という時代に、国家に銃口を向けた5人の若者がいた。戦前の2・26事件は相手が政府であり、天皇を含む国家全体に銃口を向けたのは彼らが初めてであり、しかも最後まで降伏せずに頑張り通した。しかし、当時なぜこういう若者がいたのかを歴史は覆い隠そうとしている。それにオトシマエをつけ、真実を伝えるために、俺はこの映画を撮ったんだ」
連合赤軍と「あさま山荘事件」については今さら説明の必要もないでしょう。しかし、こと映画に関しては佐々淳行原作の「突入せよ!あさま山荘事件」のような警察サイドから見たものと、立松和平原作の「光の雨」のように一部フィクションの形を取ったものしかありません。
「榛名山の集団リンチ事件で最初に死んだ少女が地獄の底から出てきて、俺の夢の中で“実現して欲しい”とささやくんだ。それに、俺はよくベカー高原に行くんだが、そこで板東国男からも“実現してくれ”と言われている。映画に記録しておけば何百年でも後世に残しておくことができる。戦後60年以上が過ぎた今だからこそ、若者たちが真剣に“嫌なものは嫌だ”と戦った記録をフィルムに残しておきたかったんだ」
とはいえ、永田洋子や坂口弘ら当時の最高幹部たちは、獄中にいるとはいえ今も存命です。
「森恒夫君が獄中で自殺した以外、みんなまだ生きている。しかし、なぜこうなったのか?あさま山荘事件以降、学生運動は抑えられ、社会が寄せてきたシンパシーも絶たれてしまった。そんな状況に対してグチをこぼす前に、街に出て戦って欲しいと思う。彼らが間違っていたとか正しかったとかは、この作品を観た人が考えればよいこと。これを見て“こういう興奮もあるんだ”と気づいてもらえればいい。ただ、3時間10分もあるから見るのも大変だけどな」
映画は1月26日に銃撃戦のシーンを撮り終え、2月5日にクランクアップしました。
「公開は2008年2月28日。機動隊が突入してメンバー5人全員が逮捕され、浅間山荘事件が終焉を迎えた日だよ」