「私の実家は埼玉なんですけど、わざわざそこから東京のキャバクラまで行って働いていました。もちろん埼玉の方にもキャバクラはたくさんあるんですが、地元の人間に会いたくないのと、東京にあるキャバクラの高級感や高収入を求めて通っていたんですよね」
美由紀は自宅周辺の店でなく、電車で都内まで行き、キャバクラで働いていた。しかし問題は仕事を終え、終電を過ぎた時間の帰宅方法であった。
「次の日に早くから予定があったり、体調が悪い日はタクシーを使うこともありましたが、お金がバカにならないですからね。だいたいは始発までネットカフェで時間を潰していました」
キャバクラの仕事はヘアメイクや衣装にもお金がかかるため、極力交通に関する出費は抑えたかったのだという。彼女の店は車の送迎も行ってはいたものの、有料のため彼女が利用することはなかった。
「将来、ネイルのお店を開きたいという夢があるので貯金しているんです。だから無駄な出費は抑えたかった。でも節約を続けるうちに、段々とそんな生活に疲れてきてしまって、キャバクラはやめることを決めたんです。いつかもしまた夜の世界に戻ってくるとしたら、交通の便で悩まないことが大前提ですね」
美由紀は春以降に東京への引越しを考えているという。もし近場に通えるキャバクラを見つけたら、再びお金のために働くかもしれないと彼女は話した。
(文・佐々木栄蔵)