八百長報道があったのは2007年の「週刊現代」誌上。協会は発行元の講談社を相手どり、第一次提訴から第四次提訴まで複数回にわたって名誉毀損訴訟を起こしている。まさに協会と講談社の「全面戦争」といった形だ。その裁判も10月21日の最高裁判決で第一次と第三次提訴に関して協会側の勝訴が確定している。
「最高裁判決が出て一定の目的は達成されたからかも知れませんが、協会がなぜこの時期に宮城野親方に処分を? と声には出さないけれどマスコミは思ってるみたいですね」と語るのはあるスポーツライター。処分理由の「師匠としての品格」を問うのであれば、07年時点で処分されていてもおかしくなかった案件だろう。
そこで考えられるのは、当時、宮城野親方が不倫相手に八百長を告白したとされる録音テープの存在。前出のスポーツライターが語る。「録音テープがらみで新たなスキャンダルが露見するのか、それとも…。その前に処分をしておきたいと考えたのかも。横綱白鵬に対するイメージダウンも最小限に抑えたいという考えがはたらいたのかも。年内に急いで処分するとなると、何かあるのかな? と考えてしまいますね」。宮城野親方は協会に対し、録音された声が自身のものと認め、「風邪薬の影響でもうろうとしていて覚えていない」と弁明、謝罪しているのだが…。
「もともと交代するとされる熊ケ谷親方は04年8月まで宮城野親方として、白鵬の新弟子時代から指導をしてきた人物です。先々代親方の娘婿となった金親の年寄宮城野襲名に伴い名跡を交換し、部屋付き親方となっていましたが、事実上は宮城野部屋の指導は熊ケ谷親方が行っていたんです。宮城野親方が処分されても部屋の運営自体にはさほど影響を与えませんがね」(前出のスポーツライター)。
それだけに解せないこの時期の処分発表だが、角界が自浄作用を積極的に働かせた結果だというのであれば歓迎すべきものだが。