安田厩舎といえば、この夏の新潟で特別4勝、連対率58.3%と脅威的な成績を残した。その勢いの象徴がトランセンドだ。
2着に8馬身をつけ、レコードで駆け抜けた麒麟山特別、そして続く新設重賞・レパードSでも同タイムで同世代を軽く一蹴した。
「ここまで勝っちゃうと関東のファンに『もう来るな』と言われそう」と安田調教師は冗談ぽく笑ったが、前走のレパードSでケタ違いの能力を再認識したという。
「直線では一瞬、アレっというような手応えに見えたが、そこからの脚が違ったね。前半のペースを考えれば普通なら止まるパターン。それで勝つんだから、やはりすごい」
前走後も至極順調。「夏場を無事クリアし、カイ食いも旺盛で反動もない。1週前はコース、当週は坂路のパターンも板についてきた」と安田師は話す。
ここまで強さを見せ付けられると、逆に「この次、どこに使うか難しい」と指揮官が悩むのもうなずける。来年はドバイに参戦という声もすでに挙がっているが、「本当はJBCクラシックに行きたいが、古馬の賞金持ちが多いからね。交流の大きなところに出るためには、ここでの賞金加算が必須なんだ」と胸の内を明かした。
今後を左右する重要な一戦。その答えは“勝利”しかない。
【最終追いVTR】坂路で終い重点に追われ、800メートル54秒7→38秒7→12秒1。相変わらず線は細く映るが、動きはパワフル。ラストの追い出しにも瞬時に反応し、シャープに脚を伸ばした。絶好調。