縁がすり切れたり折れ曲がっている点が見受けられるが、目立った損傷はなく鮮やかな色が残っている写真だ。青空の下に広がる木々や山並みを捉えた風景の中に、明らかに異彩を放つ物体が存在している。
太陽の照り返しを受けて青空に浮かんでいるのは黒い機械的な物体、広がった釣り鐘状の下部を持つ典型的なアダムスキー型のUFOだ。
古い写真だが、被写体のディテールはかなり鮮明に確認できる。UFOの方はよく見ると上部に窓のような物が存在し、下部にはアダムスキー型のUFOに存在する半球体の機関がついていること等が解る。
この写真の詳細に関しては、1964年7月10日、アメリカにて撮影されたものであるという事実しか分かっていない。2008年11月15日付のテレグラフ誌に掲載されたのだが、撮影者の家族が屋根裏から発見したという以外に情報はないようだ。
さて、昔に撮影された写真を子孫らが見た所、空にUFOが写っているのを発見した…というケースはいくつかある。空に白い交点や黒い粒状、円盤状の物体が浮かんでいるものが多いが、実はこれは写真の経年劣化で印刷ムラやしみなどが強調されてしまい、結果的にUFOに見えてしまったというものだ。
だが、この写真に写るUFOは右下に残る大きなシミなどと比較しても解るとおり、ディテールが非常にハッキリしているので印刷ムラなどではないことがわかる。では、やはりこの写真は本物のUFOを撮影してしまった物なのだろうか?
問題は、ここまではっきりとUFOが写っている古い写真なのにもかかわらず、2000年代に入るまで一度も世に出てこなかったことだ。よく見るとこのUFOの上部にはアンテナ状の物があり、手前の木々とUFOを比べるとUFOの方がかなりはっきりと写っている事が解る。
恐らくこの写真は模型をつるして撮影したフェイク写真だったのではなかろうか。1960年代はアメリカをはじめ世界中でUFOの目撃証言が報告され、様々な写真が撮られてきた。その中にはブームに乗って作製されたフェイクも多数含まれている。この写真の撮影者も同様にいたずら心でフェイク写真を撮影し、仕舞っておいたのだろう。それが後年に発見され、半世紀を経て注目を集めるとは思ってもいなかったのではなかろうか。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所