「国家科学院は平壌市内にあり、昨年1月には金正恩党委員長も現地指導した格式の高い機関です。正恩氏が視察した折には、『科学技術を担う人材の育成と成果を挙げるため、科学研究部門への投資を引き続き増やすべきだ』と指示しました。が、そうは言っても独立採算制であるため、経済制裁のさなかでもあり、研究資金の不足に苦しんでいるのは否めません。そこで資金不足を補うため、製造技術も原材料もある覚せい剤に目を付けたのです」(北朝鮮ウオッチャー)
北朝鮮は過去、覚せい剤を国家機関の主導で製造し、日本などに密輸していたことがある。しかし、各国当局の厳しい取り締まりにより、密輸はできなくなった。これが皮肉なことに北朝鮮国内で薬物がまん延するきっかけを作った。今や子供までが覚せい剤に手を出すなど社会モラルは完全に崩壊している。
ところでフランスの旅行ガイドブックなどを出版するプティ・フュテ社が、北朝鮮の風景や歴史、文化を解説した珍しい旅行ガイドブックを刊行した。国家科学院が記載されているかどうかは不明だが、政治的にデリケートな内容が含まれているため、没収され、刑に処せられる可能性があり、観光で訪れても携行しないように求めている。
「仏朝間に国交はありませんが、フランスから北朝鮮を訪問する人は年間400人ほどいます。渡航費用は約2000ユーロ(約25万円)くらいでしょうか。北朝鮮は世界に残された最後の秘境だけに世界中の旅行マニア垂涎の的になっています」(同・ウオッチャー)
北朝鮮を旅行中に拘束され、1年5カ月ぶりに解放されながら、帰国直後に死亡した米国の大学生オットー・ワームビア氏のようにならないよう北朝鮮国内に入るには細心の注意が必要だ。