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「渋井哲也の気ままに朝帰り」キャバ嬢は女優!に反論したヘルプ嬢

 「キャバ嬢だって女の子なんだよ。さびしい時だってある」

 これは、歌舞伎町で初めて接客されたキャバ嬢に言われた言葉だ。どういうことかといえば、その子に、

 「誰が指名なの?」

 と聞かれ、指名嬢の名前を言った。そして、

 「指名嬢にはうまく私をだましてほしい」

 と言った直後だった。

 この日、お気に入りのキャバ嬢(年齢は不明)を突然指名しにいった。まだ、指名して間もないので、その嬢のくらしいプロフィールは知らない。いきなり客観的な情報を引き出してしまうのもよいけど、徐々に知っていくのもよいものです。そのため、疑似恋愛モードになっていたタイミングだった。

 そのとき、ヘルプで着いた名の知らぬ嬢に言われてしまった。

 「だますってなに?」

 私はこう答えた。

 「キャバ嬢って、やはり、私にとっては女優なんだと思う。お金を出して、お酒とその子とのトークを楽しみに店に来ているんだし。だから、ちょっとでも気分よく、ときには恋愛モードになって、その子にハマっている感じになれば最高」

 そのヘルプの子は、ちょっと怒ったように、そして真剣に反論する。

 「だめだよ。そう思っちゃ。お金とか利害関係だけだな、って思っちゃうと、キャバクラで働いている子はみんな、“そんなもんなんだ”って思っちゃうよ。キャバ嬢だって、いろんなこと考えていて、店で働いていることを家族とか友達に言えなかったりする。そんな中で傷ついたりしてる。そのうえ、指名しれくれたお客さんにそう思われちゃうのは嫌だと思う」

 私としては、こうした体験は初めてだった。というのも、「キャバ嬢は女優」だと言うと、みんなそれなりに納得してくれた(あるいは、納得してくれるフリをしてくれた)。しかし、このヘルプ嬢は、「女優の前に、女の子なんだ」と言わんばかりに、しゃべり続けた。

 もちろん、私も分かっています。キャバ嬢は女優みたいなものだが、プライベートの事情に大きく左右され、女の子をむき出しにしている。でも、プライベートのまま話をするのなら、女友達と飲むのと変わりがないのではないか。

 このヘルプ嬢はさらに続けた。

 「キャバ嬢だって、いろいろ凹んでいたりするんだよ。そんなとき、誰にも相談できない。お店の女の子にも、従業員にも言えなかったりする。そんなときに、誰かに相談できたらって思うんだ。そんなときに、相談できるのはお客さんってこともある。キャバ嬢は、出会いは限られてるでしょ。基本的に一番出会っているのはお店なんだし」

 そんな時間を過ごしていると、指名嬢がやってきた。ヘルプ嬢とそんな話をしていたことも知らずに、笑顔で戻ってきた。私は、ヘルプ嬢に感謝をしながら、握手をして別れた。

 「え? なんで握手なの?」

 指名嬢は不思議そうに私をみていた。

<プロフィール>
渋井哲也(しぶい てつや)フリーライター。ノンフィクション作家。栃木県生まれ。若者の生きづらさ(自殺、自傷、依存など)をテーマに取材するほか、ケータイ・ネット利用、教育、サブカルチャー、性、風俗、キャバクラなどに関心を持つ。近刊に「実録・闇サイト事件簿」(幻冬舎新書)や「解決!学校クレーム “理不尽”保護者の実態と対応実践」(河出書房新社)。他に、「明日、自殺しませんか 男女7人ネット心中」(幻冬舎文庫)、「ウェブ恋愛」(ちくま新書)、「学校裏サイト」(晋遊舎新書)など。

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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