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樋口裕太 骨折を隠して舞台を乗り切る

 その瞳は、無垢な西洋人形のよう。流行の歌詞ではないが、見つめられると吸い込まれるような、そんな吸引力がある。若干17歳にして、由緒ある『ジュノンスーパーボーイコンテスト』のフォトジェニック賞を受賞。樋口裕太はそのころから、スターのオーラを放っていたのだ。納得、である。

 本人が自覚している以上に、そうとうな負けず嫌いだ。「芝居のハプニング」について話していたとき、「これ。マネージャーさんにも言ったことないんですけど…」と、苦笑しながら切りだした。

 「足の小指を折ったことがあるんです。今、初めて言いました! ダンスで着地したとき、“あっ、ヤバい!”と思ったんですけど、本番中だったんで痛くなくて。終わってから、吐きそうになるぐらい、痛くて。でも、殺陣のシーンがなくなったとか、シーンが替わったとかになるのが嫌で、(自分に)負けた気がするから。だから、絶対言うもんかって」

 驚くのは、“吐くほど痛い”ことを、初舞台(13年の『忍たま乱太郎第4弾〜最恐計画を暴き出せ!!』)で経験している点だ。誰にも告げずに病院へ行き、痛み止めの薬で千秋楽まで乗り切ったという。

 そんな樋口が、今月26日から上演される舞台『サンダービートで踊らせて』で、初めて主演を務める。時空を超えて未来の惑星にワープしてしまった地球人が、銀河系の星同士の戦いに巻き込まれるSFコメディだ。初の座長公演を控えた今、19歳の若き獅子は何を思うのか。

 「座長としてカンパニーをまとめるのは、プレッシャーですけど、今はやってやろうって気持ち。最年少だと思うけど、周りの大人にいろいろ聞いて、皆さんと一緒に作っていきたいなぁと思います」

 自分らしさ。責任感。プレッシャー。そして、切り替え。この4つが、ステージに上がる際の肝だという。段階によっては、うろ覚えも、肝心なことだ。

 「正直、稽古に入るまでは、あんまり考えたくないタイプです。稽古もうろ覚えの状態で行って、演出家さんがどんどん変えていくことに応じていく。本番までのラストスパートで、バ〜ッともっていくけど、本番でも固めない。舞台なんで、何が起こるかわかんない。対応できる引きだしを持っておくことが、大事なんで」

 17歳で痛みを知り、18歳で場数を踏み、19歳の今、座長という任を与えられた樋口。これは何より、舞台に愛でられている証拠だろう。(伊藤雅奈子)

■舞台『サンダービートで踊らせて』
日時/3月26日(水)〜30日(日)
会場/東京・萬劇場
出演/樋口裕太、加古臨王、駒谷仁美、成松慶彦、中村愛美、川岡大二郎ほか。
料金/5,000円
タイムテーブル/26(水)19:00、27(木)14:00、28(金)19:00、29(土)14:00&18:00、30(日)14:00
http://www.h4.dion.ne.jp/~tai-setu/
※公演情報は公式サイトで確認を。

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