前橋の成田は33ならまくるというレースパータンを貫きとおした。初日の特選では村上義弘(京都)の先行を4番手からまくって圧勝。ローズカップは新田祐大(福島)を使った先輩の岡部芳幸の後ろを回って2着にとどまったものの、まくりというよりも追い込みに近いレースをした岡部を前に回したレースでは仕方のないところだったろう。
その証拠に準決では山崎芳仁の4回転先行を計ったような差しでタイヤ差追い込んで、平成19年に続いて寛仁親王牌では優勝に進出している。
決勝は新田祐大を番手まくりした山崎-岡部の3番手回りで、外を渡部哲男(愛媛)にかぶされて伸び切れなかったが、番手を回していたらGI初制覇もあったのでは…と思わせた。
前橋以降はFI戦で優勝2着が続いているが、いずれも自力で動くレースで得意の差しは活かしていない。成田の狙い目は福島ラインのいないときだが、もしも目標のない組み合わせに成田がなったときは、迷わず頭から流してみたい。
例えば北京五輪の競輪種目で銅メダルを獲り、人気上昇中の永井清史(岐阜)あたりでも3番手に追い上げてまくり気味に追い込めば、前に中部の追い込みがいても差しきってしまうのではないか。前橋の短い直線で4回転の山崎を差した成田は3.64のギアで回転にものを言わせるだろう。
松戸GIIIで4連勝。それも初日特選では2センター9番手から9秒0のコースレコードのまくり追い込みでファンの度肝を抜いた中村浩士(79期・千葉)も注目株だ。松戸のバンクレコードは昭和57年に井上茂徳さん(佐賀)が出した9秒1だからなんと26年ぶりの更新というから驚く。中村はホームページも持っている異色の選手だが、8歳の子供の心臓移植の募金活動をして費用を集めたまさに人間的にもすばらしい選手だ。
ギアは3.60という特殊なものでまくり選手向き。このギアを踏んでいたのは、記憶の限りではまくり一発の土田三裕(宮城)しかいない。
このまくり追い込みに向いたギアでオールスターも10秒台(一宮のレコードは北川智博=滋賀の10秒8)でまくれば、本物のスーパースターに成長したことを裏付けてくれるだろう。
昨年の高知オールスターでも、初日は6着だったものの、予選2回戦で新田康仁(静岡)北津留翼(福岡)を13秒9の追い込みで破っている実績も決して忘れてはいけないだろう。