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本誌しか書けない秘話! 高倉健vs菅原文太 実録ヤクザ伝(3)

 また、次のようなエピソードもある。
 田岡三代目は持病の心臓病のため、ほとんど煙草は吸わなかったが、元来は煙草好きで時々嗜んだ。ある時、映画の一シーンで健さんが煙草を吸うシーンがあったが、その所作が田岡三代目の煙草を吸うときの所作とそっくりだったことを側近が発見。田岡三代目にその旨を告げると、三代目は「さすが、役者やのう」と、健さんの芝居根性を称賛したという。
 ところが、『山口組三代目』は折からの当局の取り締まりと相まってトラブルが起き、ヒットしながらも第二作『三代目襲名』で途切れてしまう。

 健さんは、もう一本、実録映画に主演している。山口組実在の最高幹部、ボンノこと菅谷政雄を演じた『神戸国際ギャング』だ。
 「この映画では、文太とも共演しただけでなく、健さん唯一のベッドシーンが演じられた。シャイな性格からベッドシーンは大の苦手の健さん、生涯で本格的なラブシーンを演じたのはこの映画だけといわれる。この時のラブシーンは、撮影後に健さんから俊藤プロデューサーに『カットをお願いします』と申し入れたが、聞き入れられなかった。その後、俊藤との関係にヒビが入り、実はこれが高倉健が東映を退社する引き金になったともいわれています」(映画製作関係者)

 一方、菅原文太の実録映画には、『山口組外伝・九州進攻作戦』の夜桜銀次役、『安藤組外伝・人斬り舎弟』での花形敬役など、実在のヤクザを演じて侠気と狂気を交錯させた演技が多く、日本映画史に得意な個性を放っている。
 そういう役が多かったこともあり、菅原文太も親分衆との交流があった。
 「ある関東の大親分からはことのほか可愛がられ、有名なプロ野球界OBとともにたびたび招待を受けた。一緒にゴルフに興じたこともある。その都度、豪華なプレゼントを贈られていた」(フリーライター)

 健さんと文太の共演作品は、前述した『山口組三代目』『神戸国際ギャング』、藤純子引退記念映画『関東緋桜一家』、ともに特別出演的な『日本暗殺秘録』などを数えるのみ。追う者と追われる者という立場ゆえか、それをお互いに意識しあったのか、共演作品は意外と数少ない。
 全盛期の東映京都撮影所での健さんを知る、ある古参の監督が言う。
 「健さんは、珈琲が好きで何杯も飲むから朝は苦手なんだ。朝、時間通りに入るんだが、体調が整うまで時間稼ぎをすることがあって、助監督として迎えに行った僕を相手にして控室で話し込む。ある時、別れた妻の江利チエミさんの話をしてくれて『本当は別れたくはなかったんだ』と話されていたのが忘れられない」

 東映から離れて以後の菅原文太は、『太陽を盗んだ男』『炎のごとく』『鉄拳』『わたしのグランパ』…さらにはアニメ映画『千と千尋の神隠し』『おおかみこどもの雨と雪』の声優など名演を残しているが、東日本大震災以後は事実上の俳優業引退宣言をした。

 高倉健と菅原文太の死。映画史における昭和の一時代が幕を下ろした。

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