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中国にひれ伏した北朝鮮・金正恩委員長「破滅」への末路

 習近平国家主席は世界に向け「北朝鮮の最も親しい国は中国」という強いアピールを発信しなければならないほど追い詰められていた。5月7、8の両日、金正恩党委員長の二度目の訪中となった中国・大連で開かれた中朝首脳会談では、スーツ姿の習主席と人民服姿の正恩委員長が観光地の海岸を2人で談笑しながら歩く映像が流れた。

 4月末の南北首脳会談では、正恩委員長と韓国の文在寅大統領が2人きりで談笑するシーンが世界中に報じられた。それを見た中国共産党の中枢幹部は、担当部署にこう指示したという。
 《われわれもトップ同士が2人だけで話す場面を見せる必要がある。それも韓国よりもっと親密に…》

 習政権が誕生して以来6年もの間、正恩委員長は中国に距離を置き、中国が党大会後に送り込んだ特使をお茶も出さずに追い返している。さらには中国とのパイプ役であった叔父の張成沢を処刑し、やはり中国が庇護していた異母兄である正男を暗殺してしまった。それを簡単に水に流すほど習政権は甘くない。
 先の米朝首脳会談で、トランプ大統領は米韓合同軍事演習の中止を示唆したが、それは習主席が正恩委員長に、米側にそれを提案するよう直接求めていたからだ。トランプ大統領が相手にした金王朝の三代目は、習主席の“特命大使”だったというわけだ。

 習主席は大連会談で「中朝は唇と歯の関係だ」(唇亡歯寒=唇がなくなれば、歯は寒くなる)という毛沢東が朝鮮戦争時に人民義勇軍(中国兵)の派遣を決める際に使った四字熟語を持ち出している。これは、利害が同じ相手がいなくなれば自分も危うくなるという同志の固い絆を表す友誼という意味がある。
 「ところが、朝鮮戦争で40万人もの人民義勇軍に犠牲を強いながら、北朝鮮には彼らが流した血に感謝を捧げる記念碑すらありません。中朝の長い歴史を振り返れば、友誼よりも恨みを募らせた時間の方が長いのです。ですから、中国が北朝鮮に対して依然強い影響力を維持し続けているというメッセージを、このタイミングでことさら国際社会にアピールするのは、裏を返せば中朝関係が以前のような『唇亡歯寒』の関係ではないことの証左なのです。習主席は“シンガポールまでの政府専用機をタダで貸してやるから米国にすり寄るなよ”と、最大限の便宜を図ったのです」(国際ジャーナリスト)

 中国は北朝鮮の対米接近の動きを疑惑の目で見ていたのだ。そもそも朝鮮半島問題は米朝や南北問題ではなく、米中のアジアにおけるプレゼンス問題、覇権争いに焦点が絞られている。
 「地政学では隣国は敵と定義されています。習主席の論理なら、過去の中華帝国の版図に当然、朝鮮半島が入っていなければなりません。すでに韓国は手中にありますから、北朝鮮にホイホイ米国に手もみで近づかれては中国の沽券に関わるのです」(同)

 正恩委員長の主眼は経済発展を実現し、それにより内部にたまる不満を解消していくことにある。それを公にしたのが、核実験と大陸間弾道ミサイルの発射実験を停止し、今後は経済発展に注力することを宣言した朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会(4月20日)の決定だ。
 北朝鮮が本当に望むのは、平壌にトランプタワーやマクドナルドができることだ。これが実現してこそ米国の攻撃から安全が保障される。こう正恩委員長は考え始めているということだろう。
 「党は5月20日付で、共和国創建日(建国記念日)の9月9日までに選挙を行うという指示を地方組織に伝えたらしいのです。目的として考えられるのは憲法改正です。北は2012年に憲法を改正し、序文に『核保有国』としての立場を明記していますが、米韓と約束した『完全な非核化』を実行するためには、憲法を再改正してこれを外す必要があります。軍の大幹部3人を穏健派に入れ替えましたが、北の憲法改正における法的・行政的手続きは全会一致が原則ですから、『核保有国』という文言外しという一大事に向け、代議員の顔ぶれの一新を画策しているのかもしれません」(北朝鮮ウオッチャー)

 正恩委員長は本気で中国式の開放政策を採り入れるつもりなのか。現在、北朝鮮の『元山葛麻海岸観光地区』では、日本海側の海岸に沿ってホテルやキャンプ地、民泊施設などが急ピッチで建設中だ。外貨獲得のためのカジノ誘致まで画策しているといわれる。
 「実は米朝会談で不思議な出来事がありました。会談後の正恩委員長には“空白の8時間”が存在しているのです。クーデターを極度に恐れ、できるだけ不在を避けたいはずの正恩委員長ですが、帰国を遅らせてまで統合型リゾート施設『マリーナベイ・サンズ』の関係者と会っていたのではないかといわれています。同施設を経営するカジノ王のアデルソン氏は、熱心なトランプ支持者として知られています。『話は通してある』とトランプ大統領が正恩委員長に耳打ちし、観光地区でのカジノ構想が話し合われたのでしょう」(同)

 トランプファミリーはそろいもそろってホワイトハウスの威光を最大限に利用し、世界中で不動産ビジネスに勤しんでいる。今後、ファミリーの“飯のタネ”になるのは北朝鮮だ。
 ブタは太らせて食うに限る――。中国も米国も、結局、こうほくそ笑んでいるに違いない。

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