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キャバ嬢が生まれる瞬間(8)〜ゲームがキッカケでキャバクラ嬢になった女〜

 木下明美(仮名・20歳)

 私はキャバクラの世界をゲームで知った。といっても引き篭もりのオタクってわけじゃないよ。ゲームなんてスマホぐらいでしかやらないし、自分で何万円もする機械を買うくらいなら服を買ったほうがいいって思う。じゃあどうしてゲームなんかでキャバクラに興味を持ったのかっていうと、兄の影響なんだよね。

 幼い頃に両親が離婚し、私と兄は母に引き取られた。それからはずっと狭いアパートで3人暮らし。テレビも1台だったから、目当ての番組は見れない。というかテレビ番組が普通に見れたならまだ満足できてたかもしれない。うちの兄は昔からゲーム好きで、学校から帰ったら唯一のテレビをゲームで独占。母は仕事で帰りが遅いからいないし、私の言い分なんてまったく聞き入れてくれない兄は、黙々とゲームをやり続ける。だから私は学校でテレビの話題についていけなくなった。

 兄のやっていたゲームは、レースゲームだったり、サッカーゲームだったり、モンスターを倒して強くなっていくドラクエみたいなやつばかりで全然興味がわかない。でもやることが特にない私は、いつしか兄がやってるゲーム画面を、ひたすらボーッと後ろから見てるのが日課になった。

 そんな日々の中、ただ1つだけ興味を持ったのがヤクザ同士が戦うゲーム。そのゲームは新宿歌舞伎町とかを忠実に再現していて、キャバクラにだって行くことができる。さらに実在の人物がキャバ嬢を演じ、ちゃんと本人の声でしゃべる。たかがゲームとバカにできないくらい、ドレスや店の内装までがリアルだった。ゲームでは主人公がトークを展開したり、プレゼントを送るだけじゃなく、アフターや同伴システムまであってなかなか凄い。兄は本筋そっちのけで、ずっとキャバモードをやり込んでいたんだよね。今じゃ大人気の壇蜜も、このヤクザゲームのキャバ嬢役でデビューしたらしい。

 キャバクラなんてまったく興味なかった私。でもゲームの中で生き生きと会話を楽しむ嬢達の姿を見ていたら、いつしか自分もやってみたいと思うようになった。人に言ったら笑われるけど、本当にゲームがキッカケで私は今、都内でひとり暮らしをしながらキャバ嬢として働いている。

 最近母に聞いたけど、兄はアパートを出て就職したらしい。今頃、給料を使って本物のキャバクラに通ってるのかもね。あの時、兄がゲームのキャバクラ嬢に夢中になっていたように、私もリアルで、お客さんを楽しませて、夢中にさせたい。

 そういえば、あのゲームは続編もたくさん作られているみたい。もしもキャバ嬢役オーディションがあるようなら今度私も受けてみようかな。もし受かったら、兄はゲームをプレイした時、ビックリするかもね。

(取材/構成 篠田エレナ)

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