search
とじる
トップ > 社会 > なまはげ改造計画

なまはげ改造計画

 秋田県男鹿市の「なまはげ」が女風呂に乱入するなどわいせつ行為を連発した事件に絡み、同市が大胆な“なまはげ改造計画”に着手することが17日までに分かった。なまはげとはなんぞや、という精神注入を徹底するほか、面接試験などを検討するという。
 一部なまはげの女風呂乱入事件は、観光客の女性に抱きついたり体を触るなどの余罪が7件発覚し、男鹿市には「なまはげなんてやめてしまえ!」などの厳しい意見が市内外から寄せられる事態となった。過去になまはげ絡みで問題が発生したケースはなく、それだけに関係者のショックは大きいという。
 同市によると、16日午後までに市や観光協会、男鹿温泉郷組合に計50〜60件の抗議メールや電話などがあった。担当者には地元紙のほか本紙をはじめとする全国の新聞、テレビなどから取材が殺到し、対応に大わらわ。「随分とイメージダウンしてしまいました。なかには『原点に立ち返って頑張りなさい』といった激励もありましたが、約9割が批判です。早急に対策協議会を立ち上げ、なまはげのあり方などを検討します。信頼回復のためには大胆な改革が必要かもしれません」(同市観光課)と危機感を募らせている。
 対策協議会の構成メンバーは、学識経験者や地元神社の宮司、観光協会、温泉郷組合の関係者に各方面の有識者ら。今月中に会を立ち上げ、「なまはげとはなんぞや」という定義づけを足がかりに抜本的な再発防止策を論議するという。
 さて、一般にはあまり知られていないが、なまはげ役は結婚前の若い男性が務めるのが慣例になっている。地元の若者には楽しみのひとつとなっており、地元のホテル旅館業関係者からは「今回も事件を起こした1人以外はみなきちんとしている子ばかり。たった1人の起こした事件で同類視されてかわいそう」と同情する声が上がっている。
 一方で、少子高齢化によってなまはげ役のありがたみが減ったとの指摘もある。童貞しか認められなかったといわれるなまはげも今は昔。同市も例にもれず少子高齢化が顕著であり、市内にとどまる若者は減っているという。「一連のわいせつ行為は帰省中の若者が起こしたと報じられている。なまはげ役が不足しているのをいいことに増長した部分があったのではないか」(別の旅館ホテル業関係者)

 男鹿のなまはげは1978年に国の重要無形文化財に指定された。2月8〜10日にはたいまつをかざしたなまはげが雪山を降りる「なまはげ柴灯(せど)まつり」を控えており、名誉挽回のためにも厳しい再発防止策を打ち出す必要がある。
 「できるだけ早く『なまはげマニュアル』を作成し、各町内会会長に配布したい。胸や尻など触ってはいけない部分を明記したり、筆記試験や、なまはげに扮する若者を各会長がじきじきに面接し、人物像を見極めるのもひとつの方法。その上で『あなたになまはげをやってもらいたい』と公式に任命することなどが必要になってくるかもしれませんね。免許制?それも検討します」(同市観光課)
 人材不足解消策としては「“女なまはげ”はありえない。まだ年配の男性のほうがまし」(同)と童貞、未婚者にこだわらない姿勢だ。事件当時“実行犯”は酒に酔っていたとされ、なまはげを追い返す振る舞い酒についても検討するという。筆記試験に面接試験、任命式や免許制…。鬼の形相で暴れ回るなまはげにも受験勉強が必要になりそうだ。

○連続エロなまはげ事件とは
 昨年12月31日夜、男鹿温泉郷の旅館を訪れたなまはげの1人が女湯に乱入。その後の同市の調べで、ほかのホテルや旅館5施設のロビーなどで女性客の体を触るなどハレンチ行為計7件に及んでいたことが発覚した。被害者女性から「なまはげにおっぱいを触られた」などのメールが寄せられたという。
 秋田県警男鹿署は女湯に乱入した事件について事実確認中。「詳しい内容は教えられない。被害届は出されていないが、なまはげ行事の中ではみ出した行為があったように聞いている」(捜査関係者)。同市には「市は実行犯を訴えろ!」と怒りの声も届いている。

○なまはげに関する、へえ〜な話題
 男鹿のなまはげは鬼の形相でざんばら髪。大みそかの夜、木製の大きな包丁と手桶を持って「怠け者はいねが(いないか)、泣ぐ子はいねが」と市内約60の集落を練り歩く。囲炉裏にあたりすぎて赤くなった膝がしらを「なもみ」と呼んで怠け者の象徴としており、その怠け心をはぎ取ることから「なまはげ」と呼ばれるようになったという。
 男鹿観光協会では2002年から「ナマハゲ伝導士」認定試験を実施。毎年11月、なまはげ行事や歴史など各種知識を問う筆記で合否判定され、累計合格者は400〜500人。市外の合格者が約7割を占めているという。これが1次試験となるかも。

○“オレ流”では再生無理!?
 男鹿市出身の出世頭であるプロ野球中日ドラゴンズの落合博満監督(54)を“臨時なまはげコーチ”にかつぎ出す動きはないのか?
 なまはげの失地回復に躍起になっている関係者にその可能性をたずねたところ「それはない」との回答が相次ぎ、熱烈エールが送られることはなかった。
 今回の不祥事によるマイナスイメージを払拭するには、対策協議会にインパクトある人材を登用するのが手っ取り早い。昨年プロ野球日本一に輝いた“地元の星”落合監督がなまはげ役を任された若者を指導する“臨時コーチ”に就任すれば、これ以上ない明るい話題とみられる。若手育成には定評のある落合氏だけに、その指導方法に学ぶことも多いはずだ。
 ところが地元の観光業界は「対策協議会メンバーにはずっと地元でやっている人のほうがふさわしい」「落合さんは男鹿出身ではあっても密接な関わりはない」「外部の人はやめたほうがいい」などとけんもほろろ。男鹿市観光課は「現時点で協議会入りを要請する考えはない。理由? わざわざ来てもらうのもどうかと…」となぜか歯切れが悪かった。
 こんなときだけ不祥事の尻拭いをさせるのは申し訳ないと考えたともとれるが、問題が問題だけに“オレ流”によるなまはげ再生は難しいと判断したのかもしれない。
 落合氏は秋田県南秋田郡若美町(現男鹿市)の出身で、県立秋田工業野球部だった。ちなみに「落合博満記念館」は現役時代によく自主トレに訪れた南紀・太地町(和歌山)に設立されている。

関連記事


社会→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

社会→

もっと見る→

注目タグ