定年退職後すぐに妻の介護に入ったのはBさん(66)。今や在宅介護者の3人に1人は『ケアメン(=親や配偶者などを介護する男性)』といわれる。Bさんは介護を始めてから、ただの一度も飲みに行ったことがない。
不必要なものは一切買わない。使わない物はどんどん捨てる。車も処分したというのはCさん(68)だ。買う物は必要最低限なものだけ。綿のYシャツなどは寝間着にし、それから布巾、最後は雑巾にする。地震で外に飛び出ても「対策として日ごろから外着で寝ている」と言えば恥ずかしくもない。Cさんにとって『ユニクロ』は高級ブランドだ。
大阪市在住の70歳になるDさんは、市営地下鉄、バスが無料なので、ほぼ毎日出掛ける。高齢者向けの無料イベントを探し、史跡巡り、先着順の高齢者マッサージ、風邪を引いたときも市販薬を買うより病院の方がはるかに安いので、週に3回は病院通いをする。医療費の自己負担は1割だから行かなければ損と考えている。エアコンの効いた図書コーナーで読書し、時間つぶしのため成人病セミナーにも出るという。
家賃6000円の県営住宅に、独りで暮らしているEさん(73)。月の収入は年金の6万円のみで、1食500円の『福祉弁当』を3回に分けて食べている。テレビはなく、徒歩30分の最寄駅に通い、新聞を拾って読むのを日課にしているが、雨が続くと何日もこもりきりになるのがつらいとか。
年金は年250万円(月約20万円=夫婦2人)の、標準よりちょっと上のFさん(69)のお隣は、生活保護受給の母娘家庭。保護費は月17万円程度だが、公営住宅家賃の約2万円、住民税、医療費、NHK料金もタダ。お隣はちょくちょく寿司の出前を取っているが、Fさん宅の食費は1人1食250円。おかずは納豆かシャケ1品。みそ汁の具は野菜のあまり部分。中国米しか食べたことがなく、コンビニの食材などとても高くて買ったことがない。
65歳までの再雇用を会社から拒否されたGさん(62)は、求職活動と並行して、会社に対し高齢者雇用安定法を順守するように申し入れている。ハローワークの求人広告も露骨に年齢制限を設けているものが多く、事実上60歳以上は拒否。アルバイトは肉体労働しかなく、持病を抱える身ではムリ。ハローワーク通いはヒマつぶしにしかなっていない。