市橋容疑者の断食が終わったのは24日の昼食時のこと。行徳署の出入り業者による和風仕出し弁当を完食した。この日のメーンディッシュは豚の焼き肉という“ガッツリ系メニュー”だった。
15日目に突入した断食劇の幕切れは、焼き肉弁当完食という意外な結末を迎えた。事件取材するジャーナリストは「市橋容疑者はいずれ食べると確信していた。事件についてはまだ口を開いていないようだが、拒絶していた食事を受け入れたことで捜査当局との対決姿勢は音を立てるように崩れるはず。供述こそないものの“半落ち”状態になった」と指摘する。
映画化された横山秀夫氏の小説のタイトルにもなった「半落ち」とは、警察用語で容疑者が自供を始めた状態を指す。すべてを供述する「完落ち」に対し、もうひと押しという意味からそう呼ばれるようになったという。
市橋容疑者のケースでは、断食と黙秘が抵抗姿勢を示す2本柱だった。
千葉地検と千葉県警は同日、市橋容疑者の身柄を行徳署から千葉刑務所内の拘置施設に移送。弁当を食べたのはよかったが、逮捕された10日から長期間食事を取らなかったため、地検と県警は健康上の理由から、医師と看護師が常駐する拘置施設で取り調べをするのが妥当と判断した。
捜査本部によると、弁当を食べ終えた午後3時前に拘置施設に移送した。移送の際、市橋容疑者は自力で歩け、ふらつくこともなかったという。
市橋容疑者は16日、行徳署の留置場から取調室に向かう際にふらつき、医師を呼んで栄養剤の注射を受けた。地検の担当検事が署に通い、取り調べを続けていた。
栄養剤はビタミンやアミノ酸、電解質などで構成され、脂肪やタンパク質を体内に補給できないため、医療関係者は「点滴だけでは栄養不良で衰弱し、危険な状態になり得る」と話していた。