重賞2勝、GIに何度も挑戦してきた実績はダテではなかった。混戦といわれた夏のマイル王決定戦「関屋記念」を制したのは1番人気のカンパニーだった。
逃げたストミーカフェの前半の600m通過が34秒4というハイペース。道中は後方で折り合いに専念。直線を向くと鞍上の福永騎手は一気に外ラチ沿いまで持ち出した。
「内を抜けてこようかとも考えたけど、不利があるといけないので外へ。何レースも乗って外の馬場がいいのは分かっていたし、力のある馬だからね。休み明けだったけど、ケイコに3週連続で乗って動ける感触をつかんでいた」
前日の新潟8Rの装鞍中に馬が暴れ、音無師が馬の下敷きになるアクシデントで、左の肋骨を2本骨折、3本にヒビがはいる重傷(加療2カ月)を負った。「新潟空港のテレビで見てくれたと思います。いい報告ができたし、一日も早い回復を祈っています」
師にかわって表彰式に出た東田助手は、今夏の新潟でアイビスSD(サンアディユ)に続く2度目の重賞の口取りに「入院しないで済んで、まずひと安心。テキがいない方がいいのかな」と笑顔いっぱい。
「ゲートで隣の馬が暴れてパニックになってしまった天皇賞・秋(16着)のことがあったので、スタートが心配だったが、うまくクリアしてくれた。音に敏感なのでメンコをつけたり、工夫して臨んだかいがあった。今まで戦ってきた相手が違うし、その通りの結果が出たんだと思うが、内にモタれる右回りに比べると、左回りは真っすぐ走るし、スムーズな競馬ができるね」
次走は未定だが、秋の最大目標は天皇賞。ステップレースを挟んで本番へというローテーションになる模様だが、「ここで賞金を加算できたのは大きいね。これでどこでも使えるから」と東田助手。6歳といってもキャリアは19戦。兄リンカーンが果たせなかったGI制覇へ、前途は洋々だ。