あのウオッカでさえ3着に敗れている秋華賞。昨年のオークス馬トールポピーは10着と屈辱的な大敗を喫している。
例年波乱ムードが漂うなか、密かに“金星”奪取を狙うのは、未完の大器デリキットピースだ。新馬→忘れな草賞を連勝した逸材で、大仕事をやってのけても驚けない。
キャリアわずか3戦目で挑んだオークスは、ブエナビスタに完敗した。しかし、あれが実力ではないという。「テンションが高くて、ゲートの裏でもカッカしていた。だから嫌な予感はしていたんです」と振り返ったのは寺本秀雄厩務員だ。
「案の定、折り合いを欠いてしまった」と大敗しても不思議のない展開。それでも6着に踏ん張ったあたり、「3着のジェルミナルとはそんなに差がなかった」と実力を再確認した。
秘めた能力は間違いなくGI級。しかし、1番人気に支持された前走の紫苑Sも引っ掛かって9着と凡走したように、依然、折り合いに不安があるのも事実だ。対策はあるのだろうか。
寺本さんは、「あるには、ある」と言う。「京都は初めてのコースでしょう。逆に馬はちゅうちょしながら走るので、かえって折り合いをつけやすい。1度使っているコースだと、馬の方で『走らなきゃいけない』とスイッチが入ってしまう」とみている。
「折り合いに課題は残るけど、乗り役(柴田善騎手)と上手にコミュニケーションが取れればチャンスはある」
寺本さんの目の輝きが、期待の大きさを物語っていた。