森田氏は国会議員時代は自民党に所属していたため、麻生首相とは面識があった。それでもやや緊張した面持ちで官邸入りした森田氏だったが、午後2時31分、首相と会うや「どうも総理! がんばりました」と笑顔で握手を求めた。首相は前回知事選で涙を飲んでから4年間の労苦をねぎらうように、がっちり握手しながら森田氏と肩を抱き合うように祝福した。
この日午前、千葉県庁で当選証書を受け取った森田氏の狙いはひとつ。05年知事選時から公約に掲げるアクアライン通行料の値下げ交渉だった。
会談後、森田氏が報道陣に話したところによると、「アクアラインを値下げできないのなら、もう目の前のニンジンはいらないからぶっ壊してくれ」と迫ったそうだ。
この申し入れに首相は「わかった。国交省に検討するよう指示する」と答えたという。
「首相に『前向きに考えてくださいますね』と念を押すと、『そのようにする』とおっしゃってくださいました。大成功ですよ、これは」と森田氏。千葉県木更津市と神奈川県川崎市を洋上で結ぶアクアラインは、国交省の所管する国道409号。開通当初から高額な通行料がネックとなり、予想をはるかに下回る通行量にとどまっている。3月20日から土日祝日のETC普通車は1000円(平日は3000円)に割り引いたが、森田氏の構想はさらに値引いて年間400億円の経済効果を生むことが狙い。
しかし、森田氏の初登庁は6日の予定で、4日までは現職の堂本暁子氏(76)の任期中。本当にうまくいったとすればフライングで公約を果たした格好だが…。