そんな師がフィールドルージュ、エーシンフォワードとともに今年の厩舎の3本柱として名指しするのが正月恒例・シンザン記念に出走するドリームシグナルだ。
デビューから3戦目の未勝利勝ちと、決して華やかな歩みではなかったが、「初対面はまだ雪が残る明和牧場。そこで岡田繁幸さんに当歳の一覧表を見せられて『この馬を選ばなきゃ、どの馬を選ぶの。馬は本来、野生動物。猛獣の外敵から逃れられる術を持っているが、この馬は放牧が終わって人間が捕らえようと思っても捕らえられない俊敏さ、身のこなしの良さを持っているからね』といわれたんだ」と西園師。
「日本一の相馬眼を持つ人物」にイチオシされた同馬は、「目先にぶら下がる1勝をあえて選ばず放牧に出した」という師の英断とともにひと夏を越して急成長した。「内で詰まらなかったらもっと際どかった」(同師)という負けて強しの京王杯2歳S2着、「前残りの競馬の中、ただ一頭、終い差し込んできた」JpnI・朝日杯FS4着。思いのほか手薄なメンバーのここは、初重賞Vに絶好の舞台となったといえる。
先週の京都金杯を見事制し、今年こそ打倒・武豊を果たしそうな予感を漂わせる鞍上・岩田もやる気満々。先週に続いて、今週の追い切りにも「乗らせてください」と志願。自ら感触を確かめて「素晴らしい反応の良さ」と絶賛だった。
「デビュー前から肩の出が悪かったが、ホント、夏の放牧ですべての面でたくましく成長。あれだけのジョッキーも岡田さんが言う通り『俊敏で敏感』とベタぼれしてくれた。今年はこの馬でクラシックにいきたいと思っているし、ここで初笑いといきたいね」と揺るぎない自信を西園師が得たのも納得。戦国クラシック戦線にまたまたツワモノが誕生する。