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釣れた魚と旨い酒!日本全国釣り行脚 静岡県沼津市・西浦湾産マダイ

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提供:週刊実話

 深まる秋、その心地よい陽気に誘われて、静岡県の沼津を訪れております。

 前回は、好釣り場が多い沼津市内でも特に人気を集める木負堤防にて、ポツポツとではありますが、本命のカワハギを釣り上げることができました。

 いずれもそう大きくはないものの、肝の入りは良好。そのままこの場所で粘って数を稼ぐのもよかったのですが、いかんせん本命の何倍もかかるベラに少々ウンザリ…。釣れるカワハギもサイズが上がらなかったこともあって移動することにし、再び海沿いを走る路線バスに乗り込んだのでありました。

 古びたローカルバスに揺られ、車窓から景色を眺めつつ西を目指します。やがて、開けた地形のよさげなロケーションの集落にさしかかったところで、何やらピンときて、咄嗟に降車ボタンを押してしまいました。

 降り立ったバス停は「久科」。以前に竿を出した時も、トラギスやベラに混じって型のよいカワハギが釣れた記憶があります。潮通しがよく、足下から水深があるため、地形的条件からも期待が持てるポイントなのです。

 釣り場は県道の真下にある護岸。階段を下りて適当な場所に釣り座を構え、2本の竿に仕掛けを結び付けて、それぞれ投げ入れます。仕掛けを入れた後は、背後の壁に寄りかかるようにして座り込み、後は魚が掛かるのをのんびり待つのみ。あ〜ラクチン、ラクチン。

 すると、早くも竿先を絞り込むアタリが出ました。「座り込んでのんびりする暇もなし…」と、立ち上がって竿を手に取ると、元気な手応えが伝わります。竿の揺れ方が、ベラが掛かった時とは違う上に、引き具合も強めです。
「いきなり本命か?」

 そう期待しながら巻き上げてくると、やがて水中に白い魚影…。カワハギは褐色ですから、この時点でそれまでの期待は霧散です…。

 抜き上げたのは、釣り人から“チャリコ”と呼ばれるマダイの幼魚でした。手のひらサイズながら、さすがはマダイの子。その手応えは力強さを感じます。

 本来であれば即リリースですが、ハリを飲んでしまっているため、とりあえずキープ。エサを付け替えて再び仕掛けを投げ入れます。

★幼魚再び…直後天候急変!

 再び護岸に座り込んで竿先を眺めていると、ほどなくして同じようなアタリで再びチャリコ。嗚呼、またハリを飲んでやがる…。警戒心が薄く食欲旺盛な幼魚ゆえにハリを飲んでしまうことが多く、そのくせ意外と弱いため、無理にハリを外して逃がしても死んでしまう場合がほとんどなんですな。

 とりあえずハリを外していると、今まで静かだった天候が急変! にわかに風が吹き始め、アッという間に突風のようになりました。それとともに静かだった海もザバザバと荒れ始めます。

 いや〜、本当にアッという間でした。時間にして1分もしないうちに、この変わりよう…。
「これはマズイ…」

 とりあえず荷物や竿を抱えて階段を登ります。階段上部で打ち付ける波飛沫を頭から被ったものの、無事に県道に避難完了。

 そうしている間にも波はさらに高くなり、浮き桟橋や係留されている小舟は木の葉のように揺れ、先ほどまでのんびり座り込んでいた護岸にも波が這い上がってきました。

 再度確認しますが、この釣り場は湾内に位置して、普段は非常に穏やか。外海に面した場所ではありませんので、かように海が荒れる光景は初めて見ました。

 ただ、当日は近くに低気圧があり、空は晴れたものの不安定な天候ではありました。釣りや登山といった自然相手の趣味は、どれも素晴らしさがありますが、相手はあくまでも自然。楽しませてくれる反面、恐ろしい一面を持ち合わせていることを忘れてはいけないと、あらためて感じました。

★型は小さいが味は実に高貴!

 ということで、本日の釣りはここまで。撤収です。こんな状況ですから、行動は避難が優先。申し訳ありませんが、釣果を持った写真はナシです。

 釣果といってもチャリコが2尾のみですが、ちゃんと調理すれば十分なオカズになります。

 釣り人からは外道扱いされるチャリコですが、市場ではカスゴ(カスゴダイ)と呼ばれ、一定の需要があります。酢締めにして寿司などで提供されることも多いのですが、今回は姿焼きにしてみました。

 焼き上がりに箸を入れると、身離れのよい白身は旨味が強く、皮目の香ばしさと相まって、非常に美味です。幼魚とはいえ、さすがはマダイの子です。

 そういえば、先だって執り行われた「即位礼正殿の儀」における「饗宴の儀」の前菜には「かすご鯛の姿焼き」が供されたとのこと。そのような高潔な場を例に挙げるのは、大変おこがましいのですが、ワタクシの「晩酌の儀」もつつがなく進みました。

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三橋雅彦(みつはしまさひこ)子供の頃から釣り好きで“釣り一筋”の青春時代をすごす。当然の如く魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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