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「大津いじめ事件」、被害者自殺の原因を“いじめ”と認定 PTA会長を務める主犯格の親にも批判殺到

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 2011年、大津市内の中学校に通っていた中学2年の男子生徒が自殺したのは同級生によるいじめが原因として、遺族が元同級生3人とその保護者に損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、大津地裁であり、裁判所はいじめと自殺の因果関係を認め、約3800万円の賠償を命じる判決を下した。

 大津いじめ事件は2011年、大津市内の中学校に通っていた中学2年生の男子生徒が同級生から陰湿ないじめを受け、自殺したもの。加害者3人の行動は非常に悪質で、口の上に蜂の死骸を乗せる、顔に落書きする、プロレス技を掛けるなど人間の尊厳を踏みにじるものばかり。さらに金銭も要求していた模様だ。

 しかも自殺後、加害者はいじめについて、「リアクションを楽しむエンターテイメントのようなもの」など話し、「いじめではなく遊びだった」などと主張していることが報じられ、その態様に批判が噴出した。

 これだけでも怒りを禁じ得ないが、周りの大人の対応も最低レベル。担任はいじめを目撃したにもかかわらず、「やりすぎるなよ」などと話していたとされ、事実上黙認していた模様。さらに、事件発覚後は逃げるように休職し、遺族に謝罪もしていないと報じられている。

 そして、いじめが発生した中学校校長も記者会見で笑っているように見える表情で、「自殺はいじめが原因ではない」と繰り返したほか、大津市教育委員会の職員も生徒に実施したアンケート調査で、「いじめを目撃した」とはっきり書いてあるにもかかわらず、「アンケートに記載があったからといってイコール事実ではない」などと責任逃れの態度を取り続け、意識の低さを露呈する。

 さらに、大津警察署も事件後遺族から出された被害届を3回も受理しないなど、地元の異常性が浮き彫りになり、世間の批判が集中した。

 批判はこれだけではない。主犯格の1人とされる生徒の母親がPTA会長だった模様で、その母親が「自殺した生徒の親が悪い」「うちの子が悪いというのは責任転嫁」など書かれたビラを撒いたことも判明。加害者・加害者の親・学校・教育委員会・警察と、全てが最低を言わざるを得ない対応で自殺した中学2年の男子生徒に責任をなすりつける行動を取っており、当時のインターネットは大炎上。既に主犯格の3人や保護者の実名は流出しており、約8年経過した現在でも憎悪の対象として語られている。

 今回ようやく裁判所が自殺といじめの因果関係を認めたことは、自殺した中学2年の男子生徒にとっては、せめてもの弔いだろう。しかし、若く前途ある命を奪った3人の同級生は現在も収監されず世に出ている。この事実については「また殺人をするのでは」「あんなサイコパスが潜んでいるかと思うと怖い」との声がある。

 また、いじめを止めなかった教師は現在消息不明で、「教鞭をとっているのではないか」との見方も。さらに、当初いじめと自殺の因果関係を否定し続けた教育委員会関係者や校長も「再度謝罪するべきだ」と怒りの声が噴出。なお当時の学校関係者は一様に処分されており、校長は依願退職している。

 大津いじめ事件後、「いじめ防止対策推進法」が施行されたが、それでも毎年のようにいじめ事件は相次いでおり、自殺してしまう若者も多い。

 いじめ抑止となっていない理由は、加害者側が少年法を盾に守られ、罪をほとんど償わない形で生活できてしまうことにあるのではないかとの声がある。また、保護者についてもほぼ無害で生活している様子。主犯格の父親については、自営業のため猛批判に晒されたが、現在も社名を変更したうえで会社を経営しており、「納得がいかない」との声がある。

 元同級生3人についてもネット上に名前は出ているものの、改名などをしている可能性があり、現在も社会生活を送っているものと見られる。「恐喝・暴力」などで人を殺しておきながら、世間を謳歌している事実は、おかしいと言わざるを得ないだろう。

 たとえ損害賠償金が手に入ったとしても、亡くなった命は戻ってこない。お金を払えば終わりではないのである。いじめ加害者3人は、一生の罪を背負い、世間から後ろ指を指されながら、これからも生きていくことになる。彼らの犯した罪はいじめではなく、殺人。たとえ法は許しても、世間が許さないだろう。

文・神代恭介

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