【不朽の名作】薬師丸ひろ子主演の強烈な作品「ねらわれた学園」
まにあっく 2017年05月27日 12時00分
今回は1981年公開の「ねらわれた学園」を紹介する。
同作は眉村卓の同名ジュブナイルSF小説が原作だ。2012年にはAKB48の渡辺麻友主演でアニメ映画化もされたり、他にもドラマ化などもされているが、角川映画シリーズである同作は、おそらくそのなかでも一番有名だろう。
主演は薬師丸ひろ子で、不思議な力を持つ少女・三田村由香を演じている。この作品、青春学園モノをイメージしていると、肩透かしをくらう。ノリ的にはジュブナイル小説が原作ということを考慮しても、困惑するほどかなりぶっ飛んでいるのだ。
タイトル通り、由香が通っている学校が狙われる訳だが、その学校を狙っている相手が、強力な超能力を持って世界を牛耳ろうとする思想を持っている星の魔王子(峰岸徹)だ。この星の魔王子、由香の超能力に興味を持ったとはいえ、何を思ったのか手始めに至って平凡な高校に手下を送り込んで、回りくどーく支配しようとする。生徒会を掌握して恐怖政治を敷くとか、世界征服を企んでいるわりにはスケールが低い! 地球外生命体にもかかわらず、塾を経営してせっせと構成員を育成しているのだから。
由香は自身に超能力があることを、序盤のトラックに引かれそうな三輪車の子供をバックさせることで意識するが、その後の葛藤というものは、はっきり言って薄い。ちょっと自分の能力に怯える程度で、そのあとは躊躇もあまりなく使っているため、なんでそうなったかがイマイチわかりにくい。これなら、観月ありさ主演の『超少女REIKO』のように、最初から能力に気づいており、使い方もわかってる設定でもよかったのでは?
アニメや特撮のような展開を意識しているのか、演者のテンションも高めでわざとらしく、人によっては苦痛に感じるかも。ガリ勉設定の有川正彦(手塚眞)なんか、モソモソした口調でビン底みたいな眼鏡をつけている。星の魔王子の手先で転校生として送られてきた高見沢みちる(長谷川真砂美)も目が光るは、制服以外の衣装はおかしいはで視覚的なインパクトはかなりのもの。それらキャラ立ちしまくっている登場人物のせいで、由香のエスコートヒーロー的役割の関耕児(高柳良一)が、「あ、剣道やってるんだ」程度で、全く印象に残らない。むしろモブの秘密警察っぽい服装の生徒会風紀部隊の方が目立つくらいだ。ラストでも由香を助けるどころか、逆に星の魔王子に封じ込められ人質となる醜態をさらす。剣道の試合も由香の超能力に助けられてしまったりと、色々と不遇なポジションだ。
SFモノということで、超能力バトルなども用意されている。しかし、そのチープには乾いた笑いが起きる…。同人作品のような特殊表現が哀愁を誘うのだ。80年代でももっとマシな表現は沢山あった気が…。終盤には星の魔王子演じる峰岸の腹芸も見れるぞ、腹の目玉がすごい。絶対笑わせにきてるだろこれ! 冒頭のダンスもなかなかの破壊力だ。当時、竹の子族が流行っていたからこのシーン入れたのだろうか? 映画では高校生の設定にはなっているが、原作では中学生ということで、秀才・ガリ勉タイプと不良っぽい生徒が同じクラスにいるのも結構な違和感。まあ、その辺りは他の作品でもかなりあるが。
ツッコミどころが満載で、ある意味では飽きのこない作品。早い話がかなり純度の高いおバカ映画だ。同作の主題歌が松任谷由実「守ってあげたい」なのも、歌の雰囲気との激しい違和感に、もはやネタ要素になってしまう。がちなみに、2012年のアニメ版は極力この無茶苦茶な部分を排して青春映画作品にしている。なんでだ…、せっかくアニメなのに。
ネタ方面に加え、この映画は、当時大人気だった薬師丸のアイドル映画としての必要な部分はちゃんと備わっている。全編通してジャブのように繰り返される、チープとしか言えないギャグ描写が目立ちがちだが、ちゃんと由香が「世話焼きの美少女」としての魅力を耕児との関係性で見せている。序盤はとくにまだ学園青春モノの範囲から突き抜けていないのに、かなりわかりやすいことだろう。また由香は、シーンごとに、制服、私服、和服と目まぐるしく衣装が変わっており、このあたりで、色々な服でカワイイ恰好を見せるというアイドル映画としての要素もおさえている。これだけのアイドル映画としてのアピールポイントがあれば、作品の展開に難があろうとも、大体のことは主演のアイドル性だけで押し切れる。
いや、この作品は押し切るどころか、どれが狙ったもので、どれが意図しないものなのかわからないほどネタ満載の本編と、アイドル性がうまく噛み合っており、何度もこの作品を観ているとかなり名作なのでは? と思ってしまうほどだ。
(斎藤雅道=毎週土曜日に掲載)
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