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完全復活カウントダウン 松坂を復活させた中日の弟分

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松坂大輔

 セ・パ交流戦2日目の5月30日、中日の松坂大輔(37)がオリックス戦に先発し、6回1安打無失点と好投した。救援陣が打たれて勝ち星はつかなかったが、セ・リーグ投手として迎えた初めての交流戦を楽しんでいるようにも見えた。これで登板間隔が確定できるのなら、完全復活と見ても良いのではないだろうか。
「走者を背負った場面でギアを一段階上げる感じ。右肩に不安を抱えていたときはギアを上げる前に炎上し、ピッチングになっていませんでした。変化球で打ち損じを誘うスタイルも習得できたようです」(プロ野球解説者)
 新しい何かを掴んだというよりも、「昔」を思い出したのかもしれない。

「松坂は質問攻めにされていますよ。もともと、お喋りな性格だし、むしろ楽しんでいるみたいでした」(チーム関係者)
 質問攻めにする相手はマスコミではない。同僚で、プロ2年目の柳裕也投手(24)である。松坂の中日入りが決まって以来、柳の松坂信仰はさらに熱くなったという。もともと、松坂ファン。小学校時代、松坂に憧れて投手となり、横浜高校を進学先に選んだのもそのためだった。
 春季キャンプを取材した中日OBの一人がこう言う。
「グラウンドで(松坂の)キャッチボールの相手を務めていたのは、又吉。でも、食事になると、松坂は投手陣から離れ、一人でテーブルに付くこともありました。そこへ、『今、いいですか?』と松坂の前に座ったのが、柳だったんです」
 ベテランになると、一人で考える時間も大事にする。他の中日投手も分かっていたのだろう。だから、食事中には話し掛けないようにしていた。柳もそんな“ベテランのルーティン”は分かったはずだが、一線を越えてきた。2人が何を話していたのか、詳細は分からない。柳がケータイを取り出し、松坂とその画面を見入って会話をしていたときもあったそうだ。配球や投球ファームに関する話をしていたのではないだろうか。

「横浜高校時代の教えを振り返っていたのかもしれません。横浜高校では『プロに進む素材』、とくに好投手に対しては別メニューで内野手との連携、バント処理、牽制などの練習を徹底的にやらせます。松坂はもちろん、柳もその特別教育を受けた一人です」(プロ野球解説者)
 松坂の“お気に入り”となった柳は、遠征先での食事にも同行する。共通の話題である横浜高校時代の教えを懐かしく語り合うことで、ピッチングの原点を松坂が思い出したのかもしれない。
「高校時代の松坂はこの時点で怪物でしたが、先発マウンドに上ったときから完投することを考え、力を抜くところを計算していました。最初から最後まで全力投球するのは愚策、そのピッチングは横浜高校で自ずと培われたもの」(前出・同)
 その通りだとすれば、松坂の復活は「柳のおかげ」とも言える。

 同校に詳しい高校野球界の要人がこう続ける。
「松坂がレッドソックスに在籍していた2012年までの間、彼の国内での練習場所の一つが横浜高校でした。その当時高校生だった柳は松坂と接点があったのかもしれない。柳はストレートのスピードがないほうなので、大学を経由してのプロ入りとなりました。でも、横浜高校、明治大学で技巧派のピッチングを習得できました」
 ストレートでねじ伏せることのできなくなった松坂が、柳に技巧派の冥利を逆に聞き出したのかもしれない。
 いずれにせよ、松坂は中日の水が合うようだ。弟分ができたことも好投につながったわけだ。(スポーツライター・飯山満)

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