問題なのは、この帯同する役員に紛れ込んでいる役に立たない役員の存在。「役員とは選手以外を指すので、監督やコーチ、トレーナーも含まれる。選手団名簿を見ないと判断できない」(スポーツ紙記者)というが、数もさることながら、その金の使い方にある。
前回の北京五輪のとき、選手はエコノミークラスなのに、役員はビジネスクラスを利用していたことが明るみになり、JOC(日本オリンピック委員会)が批判された。機内食の差は言うまでもなく、それで選手たちにガンバレというのだから酷い話だ。
今回、日本からロンドンまでの移動時間は13時間もあり、北京の比ではない。それでも、JOCは同じような対応を取るのだろうか。
オリンピックの役員帯同について、フリーのスポーツライターはこう話す。
「JOCや各競技団体の役員は、ほとんどが昔に活躍した選手や政治家です。政治家は各競技団体への補助金のために動いた見返り、古い選手たちは昔の活動に対する報酬だと思っています。入場行進を楽しみにしている役員もいると聞きます。ちなみに今回は開会式の時間短縮のため、入場行進できる役員数が減りました。役員帯同も利権化していると見ていいでしょう」
2009年、政権交代で行われた事業仕分けでは、オリンピック選手強化費が対象となり、JOCへの補助金削減が言い渡された。あのとき、JOC関係者は記者会見で猛反発していたが、反発するだけの改革をしてきたのかどうか、今回のロンドン五輪でチェックする必要があるだろう。
「マスコミの多くは、盛り上がりに水を差さないようにとの配慮から、開催前に問題点を指摘するようなことはしません。役員帯同の件も、また五輪後に噴出してくるでしょう」(同)
感動の裏に隠された税金の無駄遣いを許してはならない。