午後11時にJR秋葉原駅電気街口を出発。日中ならメイドさんが十数人立っているが、さすがにひとりもいない。駅に向かう人の流れに逆行して静まりかえった街に飛び出す。家電量販店はどこもシャッターが閉まり、薄暗い路地が気味悪い。
メーンストリートの中央通りに出た。営業しているのはビデオBOX、まんが喫茶、大型ゲームセンターぐらいだ。24時間営業の安売り量販店「ドンキホーテ」が暗闇のなかで唯一、祭り屋台のようにきらびやかで妖しい光を放っている。
アダルトDVDショップも閉店。後片付けする若い店員に「終わりですか?」とたずねると、「またあしたよろしくお願いします」と愛想笑いが返ってきた。年下にスケベごころをなだめられたようで恥ずかしい。
パソコンショップが乱立する裏通りもひっそりしたもの。昼間の喧騒が信じられないほど閑散とし、人影すらない。パトカーや自転車でパトロールする警官にやたら出くわす。変化著しい街の“悪の芽”を摘み取ろうとしているのだろう。
線路を挟んだ昭和通りに向かう途中、新しく建った某ビル2階のテラスにあやしい光景を見た。ビルの電気は消え、ベンチで5〜6組のカップルがいちゃついている。こんな時間まで…。目の前は雑居ビルの裏側。景色なんてどうでもいいのだろう。ありゃりゃ、男の左手が女のわきの下に入ったゾ!
昭和通りにあった風俗店密集エリアは、ビデオBOXやランジェリーパブに変わっていた。呼び込みは立っているがきわめておとなしい。まるでゴーストタウンのようだった。