通常、お線香といえば墓参りや仏壇などに使うと思うのですが、彼はなぜか失恋の度に使うというのです。彼には私と付き合う前に交際している女性がいたそうです。しかしある日、突然、好きな人ができたと一方的に別れを告げられたとのこと。すると彼は失恋を引きずらないために、自分でお葬式を家で開くそうなのです。
彼によると、まず女性の写真を机に立てかけ、お線香を焚き、YouTubeにあるお経の音源を使うそうです。そして「もう死んだから、会えない」と自分に言い聞かせ、彼女に関する全ての物を燃やすと言っていました。もちろん相手は死んでなどいないらしいのですが、気持ちに整理をつけるために、失恋の度に毎回この儀式をやっているのだとか。
確かに好きな人がもうこの世にいないと思えば、気持ちは楽になるかもしれません。でもここまですることに関しては、ちょっと異常に感じました。何より、もし私と別れた際も同じことをやられるのかと思うと、とても嫌な気分になります。今のところ他に不満はないので、現在も付き合ってはいますが、そこだけが怖いですね。
取材/構成・篠田エレナ
写真・Iqbal Osman1