7月の物別れから2カ月、東電・廣瀬直己社長と新潟県・泉田裕彦知事の再会談が、9月25日に実現。泉田知事は東電の申請に対し《県との協議後に修正申請すること》、《フィルター付きベント(排気)設備は地元の了解が得られなければ使用できないことを明記すること》との条件付きで承認したことを文書で伝えた。さらに「安全協定に基づく事前了解の協議ができないと判断した場合は、申請の承認を無効とする」考えも明らかにした。
東電はホッと一息である。何しろ10月末に800億円、12月には3000億円の借り換えを控えており「前回のように要望書を受け取ってもらえないようでは、銀行団は首を縦に振らない。土下座してでも知事に受け取ってもらう必要があった」(関係者)からだ。
申請を受け、銀行団は借り換えに応じて融資を継続する方向で最終調整に入った。東電にとっては柏崎刈羽の再稼動=黒字化に道筋が見えたことになる。
「今年の夏、東電は昨年9月と同様8.5%程度の電気料金値上げを検討するとの文書を提示している。一部銀行から『料金を再び引き上げるべき』と詰め寄られたからで、言い換えれば今の東電は、銀行団のご機嫌取りに汲々としているということです」(金融情報筋)
一方、泉田知事にしても県議会の突き上げや、電気料金再値上げともなれば、本人に批判が集中するのを避けられない。
「『安全安心とお金、どちらが大事ですか』と詰め寄っていましたが、最後は天秤にかけざるを得なかったのでは」(地元紙記者)
結局、顧客であるユーザーなど、テイのいい人質にすぎないようだ。