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寒さが大きく影響する「脳の病気」まずは動脈硬化の危険因子を取り除け!(1)

 「がんより怖い」といわれる脳の病気。寒さが増す、師走から春先にかけて起きやすいという。代表的なものが「脳梗塞」や「くも膜下」などの症状で、その主因は高血圧、糖尿病などの中高年に多い生活習慣病が多くかかわっている。わが国ではこれらの症状に対する認識が甘いとされ、一度倒れたら寝たきりになることも多く、社会復帰も難しい病気だ。十分な知識と自覚が必要な事は言うまでもない。

 がんは手術による除去や抗癌剤治療などで元気に戻れる事があるが、脳梗塞、脳溢血、くも膜下出血など、脳の血管障害による病気はそうはいかない。片麻痺(いわゆる半身不随の状態)や言語障害などの後遺症が残り、寝たきり状態で介護が必要になったりする。また、改善しても仕事への復帰率は低く、リハビリの苦しさも並大抵ではない。
 特に脳梗塞は死亡率も心臓病と2位、3位を争うほど高く、怖い存在だ。主因は高血圧や糖尿病体質、高脂血症で、善玉コレストロール値が低く、血管が詰まりやすい人ほどリスクが高い。既に生活習慣病に悩まされている人は一層、体質改善に努力し、真剣に考える必要がある。

 今年9月1日に発表された厚生労働省「2010年人口動態統計」によると、国民の死亡原因(死亡簡単分類)は、脳梗塞が7万2885人で、肺炎(約11万9000人)に次ぐワースト2位にランクされている。この調査の月例推移を見ると、いずれも11月から翌3月にかけて死亡者が増えており、寒さが大きく影響することは明らかだ。
 しかし、こうしたデータはあくまで死亡者の統計であり、当然、その予備軍がいる。脳梗塞の場合、何と40代の3人に1人、50代の2人1人、60代の80%以上の人が“隠れ脳梗塞”の疑いがあると見られている。決して他人事ではないのだ。
 ちなみに“隠れ脳梗塞”は、脳梗塞の初期段階のことをいい、MRI検査などで脳に数ミリ程度の小さな梗塞が見つかると、そんな診断が下される。

 “隠れ”をそのまま放置していれば、数年以内に約30%の確率で脳梗塞を発症するといわれる。特に日を追うごとに寒さが増すこれからの季節は、朝晩の温度差があり、建物の出入りでも大きな気温の変化にさらされる。
 「本当に注意が必要です。年末は仕事が忙しくなり、忘年会などの飲み会も増えます。“隠れ脳梗塞”が脳梗塞そのものに繋がるリスクが急激に高まるのです。くも膜下を含め、予防をどうすればいいか、しっかりとした認識を高めていただきたい」

 こう語るのは、医学博士の佐久間結實・佐久間クリニック院長。
 よく「脳卒中」という病名を聞いたことがあるはずだが、脳梗塞と脳溢血(脳出血)、くも膜下出血の3つの病気の総称であることは、意外と知られていない。いずれも脳血管の障害ということだ。
 佐久間院長によれば、脳梗塞と脳出血は、脳血管が何らかの理由で詰まったり、破れたりした結果、血管の壊死や出血を伴う病気という。言い換えると「詰まり」だけを脳梗塞と言い、「出血」があれば脳出血となる。

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