(24歳・証券会社勤務)
A:インフルエンザ予防の有効な方法として、私がお勧めするのは口腔内を清浄に保つことです。
口腔内にはいろいろな細菌が棲息しています。これらの細菌は、インフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくする酵素を出すため、口腔内を不潔にしているとインフルエンザに感染しやすくなるのです。
インフルエンザウイルスは、口腔内細菌が出す酵素を介して増殖します。インフルエンザの治療薬にタミフルやリレンザがありますが、これらはこの酵素の働きを妨げることでウイルスの感染拡大を防ぎます。
ところが、落合邦康・日本大学歯学部細菌学講座教授の研究グループによって、口腔内の細菌が多いと、タミフルやリレンザを投与しても、ウイルスを抑えられないことが確認されています。
一方、奈良県歯科医師会の調査によると、介護施設で歯科衛生士が高齢者に対しブラッシングや舌磨きの指導を実施したところ、通常の歯磨きをしていた施設に比べてインフルエンザ発症率が10分の1に激減することが示されています。
●唾液の分泌を促進しよう
虫歯や歯周病があれば、治療しましょう。歯周病による炎症もウイルス感染を促進させます。そして、日々の歯磨きを励行するとともに、舌の苔も取りましょう。加えて、口を「あー、いー、うー」と動かし、最後に舌を「べー」と出す「あいうべ体操」もお勧めです。
口の体操「あいうべ」は唾液の分泌を促進します。唾液には抗菌作用があるので、口腔細菌の繁殖を抑制する効果があります。
唾液の分泌を促進するもう1つの方法として、よく噛むことがあります。ペットボトルのお茶を飲みながら食べると、あまり噛まなくなります。お茶は食後に飲むようにしましょう。
本綜合医学会副会長。
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今井一彰氏(みらいクリニック院長)
山口大学医学部卒業。東洋医学などさまざまな医療を駆使し、薬を使わずに体を治していくという独自の観点に立って治療を行う。日本初の靴下外来も設置。